うずまきぐ~るぐる

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くらべる値段 / 辺境・近境 写真集 【ショートレビュー⑤】

◆くらべる値段 おかべたかし著のレビューです。

 

くらべる値段

くらべる値段

 

 

「目でみることば」が大変面白かったのがきっかけで

「くらべる東西」まで読んできましたが、本書はどうだろう?

ん~これはそろそろ苦しいというかネタ切れじゃないのかな?

 

同じものでも値段の高い安いがあるのはどうして?

何が違うの?という疑問に答える本ではあるのだけれども

ものすごく好奇心を掻き立てられたり、参考になったものはないな~。

 

高いから良いというわけではないことも記載されていたけど、

概ね、素材の良し悪しであったり、職人の手によるものかとか

天然か養殖かくらいの違いで、これならなんとなく素人でも

知っていることじゃないかな。

 

商品カタログを見ているみたいでサッサーと流し読みにて読了。

売れ行き好調なシリーズだから今のうちにあれこれ出版しちゃいましょう!

的な粗さが感じられてしまったのが残念。

 

 

◆辺境・近境 写真集 松村映三plus村上春樹著のレビューです。

 

辺境・近境 写真篇 (新潮文庫)

辺境・近境 写真篇 (新潮文庫)

 

 

本書はかつて村上さんが松村さんの写真に惚れ込み

一緒に仕事をしようということでタックルを組んで

出来た本です。

 

松村さんの写真に村上さんが文章をという豪華な1冊。

中国やメキシコ、日本の無人島な神出鬼没なところが面白い。

写真の数々はなんとなく村上さんが好きそうな雰囲気ということが

窺える。というか、村上さんの文章にフィットしている。

自然の風景も、都会の風景も。

 

ラスベガスを「薄っぺらで実のないところ」と毒舌具合も披露。

写真に写る村上さんは随分前のものなのかな。

サングラスをかけるとちょい悪親父といった風貌。

 

最後に村上さんが10代を過ごした神戸が登場。

じわじわ来るものがあった。

 

けむたい後輩 柚木麻子

けむたい後輩 柚木麻子著のレビューです。

けむたい後輩 (幻冬舎文庫)

けむたい後輩 (幻冬舎文庫)

 

 

 

◆モヤモヤしっぱなし…気持ちがけむりに包まれちゃいました。

 

 

いやぁー、特に内容が難しいとか、つまらないわけではないのですが
とにかく、読むのに時間がかかった気がします。

 

数ページ読むと、疲れてしまうのか、小分け小分けにして読んで
しまったから、こんなに時間を要したのかなぁ。
(途中で眠ることもしばしば)

 

フェリシモ大学、良家のお嬢様が集まる横浜にある女子大。
昔から有名なカタカナ女子大と思われる舞台設定。
出て来る場所等、まんまです。
あの辺りご存じの方は出て来る風景が楽しめますよ~

(山手のドルフィンとか)

その大学での女子どものゴタゴタを描いたものです。

 

栞子は14歳の時、親の力を使って詩集を出版。大学生になっても
私は他の子と違うという意識が強く、アクの強いタイプであるが、
その裏では、男にのめりこみやすく、振りまわされる。
常にキャメルの煙草を吸っている。

 

真実子は栞子の後輩。身体が弱い。栞子に憧れ、付きまとう。
呼ばれればすぐかけつけ、その様子は恋する乙女そのもの。
携帯空気清浄機を持ってまで栞子に会いたがる。

 

この2人を中心に話が展開して行きます。

ずーっと、栞子って自分勝手で嫌な子だなぁ…と

いうモヤモヤした気持ち。
ずーっと、真実子の健気さってちょっと怖いという気持ち。

 

これは、女友達の話ではあるのですが、どちらの女性に

対しても自分が男目線になって見ると、付き合うのは難しい

タイプなんだろうなぁ…疲れるってこんな感じなんだろうなぁ…と

感じてしまった。

 

やがて、卒業してゆく女性達。
エピローグ…わずか15ページの空間で、胸がスカッとする。
やっぱりね、自信をつけた女性は強くて凛々しいねぇーと。

このエピローグがなかったら、救われなかったと思う。

 

女同士の人間関係は苦手って言う女性。
たまに見かけますが、案外こんな感じなのかな…
じゃ、どんな人間関係が得意なの?ってね。

 

柚木麻子さん、初めて読む作家さんでした。
現在30歳、第88回オール讀物新人賞を受賞。

 

章ごとのタイトル、なんのことやら?って

最初に思いましたが最後にもう一度見ると、

理解でき面白いです!!

 

 

uzumaki-guruguru.hatenablog.com

 

 

森のノート:酒井駒子

森のノート:酒井駒子著のレビューです。

森のノート (単行本)

森のノート (単行本)

 

 

 

◆季節の気配がそこかしこに潜む

 

 

多くの本読み人が、
酒井さんの装丁画に惹かれて物語の世界に入って行ったことだろう。

「酒井さんの装丁画に惹かれて読んでみました」という声は
本当によく聞く。

かくゆう私も、「小公女」のように一度読んだ本でも
酒井さんの装丁画になった「小公女」を再度読み直したりしている。

「森のノート」はそんな酒井さんのステキな絵とともに、
36のちょっとしたエッセイが集まっている。

からまつの森を歩いて行く。
金茶色のからまつの葉が、あとからあとから降って来る。


本をひらくと、最初にこの文章が目に飛び込んでくる。

春には春の、秋には秋の本に出逢いたいと思う
私たちの気持ちを汲んでくれているかのごとく
一気に秋の空気に包まれる文章に嬉しくなる。

例えば病室で、例えば四季のない国で、
実際秋の空気を感じられない場所でこの本を開く読者も沢山いると思う。

そんな時こういう一冊があると、
人はほんの一時でも幸せな気分に浸れるだろう。
本書は何処に居ても誰もが恋しく思う季節の気配を感じられる本だと思うのです。

すずめたちの賑やかな声。
暗がりの中で小さな光の玉を見せる蛍。
すっかり死んでしまった野ネズミの死骸を運ぶ虫。

自然の中に身をゆだねていると、突如場面が都会の風景に変わる。
ビルの谷間でふわふわと浮かぶビニール袋。

東京と山の家を行ったり来たりしながら生活している
酒井さんの日常が窺えます。

私もいつしか森の人になったり、都会の人になったりしながら
季節を巡る体験をさせてもらいました。

いつまでも読んでいたい感じもあるけれど、
本を閉じ、そろそろ本格的な秋を感じに、
ザクザクと枯葉を踏める場所へ歩きに行こうと思ったのです。