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うずまきぐ~るぐる

本の紹介や日々のことをぐるぐるかきます

マジョモリ:梨木香歩

マジョモリ:梨木香歩著のレビューです。

マジョモリ

マジョモリ

 

 

 

◆私にもこんな招待状が来ないかな~♪

 


ある朝、目ざめたら「まじょもりへ ごしょうたい」と手紙が…

こんな時、怖いと取るか、ワクワクした気分になるか、

子供の性格にもよると思うのですが、私は間違いなく後者。

ポーッとなって、そして好奇心から来るワクワクが

止まらなくなりそうです。

 

主人公のつばきも不思議な植物のつるの先の案内に導かれ、

不思議と思いつつも家を飛び出すのです。


大人たちは「御陵」と呼ぶ場所。

しかし、子どもたちは「まじょもり」と呼んでいる

この森の中でどんなことが起こるのでしょう?

 

つばきの家は代々御陵の横にある神社の神官の家という設定で
不思議なムードが早くも漂いはじめます。

 

「御神饌(ごしんせん)」など普段あまり目にしないよう

お菓子が登場するあたり、ちょっとした異空間を感じたりします。

 

この話にはふたばちゃんというお友達が登場します。
この子はつばきにとってとても身近な存在の人なのですが、

元来こんな形で会うことはないという設定。

時間軸に少し戸惑うが大変面白い。
出来ることなら私もこんな経験が出来たら、すっごく楽しいだろうなぁー
と思ったりもした。

 

そして、もう一人の女性を含め三人の森の中での

不思議な「お茶会」が始まります。


つばきとふたばちゃんの微笑ましい会話と「野原の味」がする

お茶を飲みながらとっても癒された世界に読者も入っていきます。

 

このもう一人の女性は「ハナちゃん」というあだ名で呼ばれています。
彼女の正体は一体?


挿し絵が「薄みどりいろ」ベースでとても清涼感漂うさっぱりした絵で
この内容にとても合っています。

 

大人になってもこんなステキな招待状がいつか届かないかなぁ…と
ちょっとだけ夢が見られるような話でした。

 

「マジョモリ」「魔女森」…何故カタカナなのかとても気になった。
けど、こうして2つを並べるとなんとなく解る気がするのです。

 

「魔女森」にすると、なんか重い、怖い。

けど、カタカナだと不思議だけど明るい。
きっとそんなムードを梨木さんは出したかったのだろうなぁーと

勝手な想像を無駄にしてみました。

 

 

uzumaki-guruguru.hatenablog.com

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天翔る:村山由佳

天翔る:村山由佳著のレビューです。

天翔る

天翔る

 

 

◆村山さん、お帰り!と言いたくなる安心感ある作品

 

 

やっと村山さん戻って来たかな?と、きっとファンなら

感じられる1冊だと思います。

 

ここ最近、官能系やファンタジー路線になったの?と、

作品を追うごとにどんよりした雰囲気と迷いが、

なんとなく伝わって来ることが多かった気がしますが、

それらの作品と今回では全く異なり、

小説にきちっとした「軸」が見えました。

 

ずっと私自身も期待を込めて、村山さんの作品に対して辛口評価を

してきましたが、今回は「さすがです!&おかえりなさいませ」と、

ちょっとした小躍り状態です。

 

なんだかんだ言っていますが、一度読み始めると止められない

読み易さはやはりスゴイなぁーと感じずにはいられません。

 

昨年テレビで拝見した時に「また戻りますよ」とおっしゃっていた

言葉を信じてよかったなぁ!

 

さて内容は、大好きだった父親が不慮の事故で亡くなり、

さらに学校では理不尽ないじめを受け不登校になった

一人の少女の話です。

この少女は不幸なことに母親もいないので、祖父母のもとで育てられて

います。心に深い傷を抱えたまま不登校になってしまった少女の新たな

居場所は北海道の牧場。

 

そして、馬とそれに携わる大人たちとの関わりによって癒され、

元気になる少女。

 

しかし、ここに集まって来た人々は、皆それぞれ複雑な過去を

胸に秘め、チクチクと刺さるような痛みと葛藤しています。
少女も同じく、気持ちが上がったり下がったり…

自傷行為にまで及んでしまいます。

 

本書で特に注目は「乗馬耐久競技(エンデュランス)」の世界です。
私はこの競技自体知らなかったのですが、かなり細かい部分まで

描かれているので大変興味深く読みました。

 

とにかくエンデュランスがとてもハードな競技であること。
そして、馬に対する深い愛情を持って行われるこのレースに

心底引き込まれました。臨場感溢れる描写、大迫力です!

 

馬の躍動感に目を奪われつつ、少女のレースの行方が気になり、
いよいよ目が離せなくなります。

 

 

果たして少女はこのレースを完走出来たのか?
また、この少女に光は見えて来るのか?

 

自然豊かな北海道、アメリカでの競技模様。
そして、登場人物たちの不器用だけど、とても愛情に満ちた

爽やかなストーリーです。

エンデュランスという世界も含め、とても充実した内容でした。

 

 

エンデュランス馬術競技(Endurance riding )】

馬術競技の一種である。一般的に数十キロメートルの長距離を数時間かけて騎乗し、
その走破タイムを競う競技である。耐久競技のため、一定の区間毎に獣医師が
健康診断を行い、獣医師の判断により競技の続行が決定されるため、
騎手は常に騎乗馬の状態に気を配る必要がある。

日本を含む世界各国で行われている競技であり、有名な競走としてはアメリカ合衆国
テヴィスカップ(Tevis Cup)が知られている。
2006年よりアジア競技大会の種目に採用されている。(Wikipediaより)

 

 

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パンゲア5:朝香式

 パンゲア5:朝香式著のレビューです。

パンゲア5

パンゲア5

 

 

 

 その時、その時の選択の向こう側へ

 

 

マンガ肉と僕」が想像以上に楽しかった記憶がずっと

残っていたせいか、次作がいつ出るのか、今か今かと

待ち構えていました。

 

そして目にしたタイトル「パンゲア5」。

何それ?まったく内容が掴めないタイトルにちょっとした不安と

何かが起こりそうな期待を胸に早速読んでみる。

 

話は大学時代に〈五大陸〉という名の喫茶店で出合った

男女五人のその後を追った内容。

ある事件をきっかけに5人の関係は崩れ、いつしか疎遠になったわけだが、

その中のひとり、石丸蓮太がテレビで偶然、行方が不明になっていた

大和田道を発見。なんと道は命懸けの荒行を成し遂げた大阿闍梨となって

生きていた。

 

どうして僧になったのか?なぜ何も言わずにみんなの元から

去ってしまったのか?連太は道に会いに行くことを決断する。

 

そしてあの頃一緒にいた他の3人にも声をかけ、

個々の過去と現在を行ったり来たりしながら、

物語は進む。

 

最初はどこがどう結びついているのか先が見えなかったのですが、

人々の関係性や、当時、何が起きていたのかが明らかになって来ると

面白さにエンジンがかかってゆく感じでした。

 

この小説の核になっていたのは、

その時、その時の選択ということについて。

 

なんであんな不思議な選択をあのときしたのだろう。

迷って迷って泣きながらした選択もあれば、

秒速に選択されたものもある。

選択には正しいも誤りも上も下もないということ。

 

なにげなく軽快に流れる雰囲気を持つ朝香さんの小説ではあるけれど、

要所要所、相当深く考えさせられる内容も含まれ読み終わる頃には

ズシッと心に刺さって来るものがあった。

 

バラバラになっていたものが再び形を変えて集まって来る。

そんな様子がラストで窺え、清々しい気分で読了。

 

マンガ肉と僕」のようなパンチが効いたものとまた違った

面白さがあった2作目。さぁ・・次も益々楽しみになってきました。

 

 

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