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うずまきぐ~るぐる

本の紹介や日々のことをぐるぐるかきます

トコとミコ:山口 恵以子

 トコとミコ:山口 恵以子著のレビューです。

トコとミコ

トコとミコ

 

 

 

伯爵家の令嬢と、使用人の娘の生涯もの

 

 

伯爵家ものの大河ロマンということで飛びついた(笑)

約90年、激動の時代の中に生きた二人の女性の生涯を

描いたものです。

 

六苑伯爵家の令嬢・燈子と、使用人の娘、美桜子。

二人の間には身分の差はあるものの、幼いころから共に

過ごしてきた仲であるだけにその距離もかなり近い。

 

生粋のお嬢様気質の燈子と常に上昇気質の美桜子。

まったく性格の違う二人はやがて時代の波に飲み込まれるように

状況が刻々と変化してゆく。

 

お互い支え合い、助け合い…一見そんな風に感じられる関係ではあるが、

そのうち嫉妬による裏切りなど、それなりの山あり谷ありの

設定で楽しめる要素はあるのですが、なんかスパイスが

いま一つ足りなさを感じてしまった。

そのせいか、個人的には中だるみ・・・でなかなか前に進まず状態で、

読了まで結構な日数がかかってしまった。

 

興味深いのは、華族ってものは没落しようとも、

庶民のそれとは違いあまり切迫感がないってこと。

燈子はどんなときも、年老いても、ずっとお嬢様として

生きているあたりが凄い。

 

バブルで土地を巻き上げられても、その土地代がまた莫大な

財産になってゆくわけだから庶民とはやはり違うものがある。

 

ということで、後半は年老いた二人が再会するシーンなどがあり、

それなりに感動はするのだけれども全体的な粗さがどうも気になった。

 

「なんか惜しい!」って気持ちになってしまうんですよね。

この方面の小説をよく読む方にとっては物足りないかも?

次作に期待です。

 

 

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一葉:鳥越碧

一葉:鳥越碧著のレビューです。

一葉 (講談社文庫)

一葉 (講談社文庫)

 

 

 

◆これからという時に…これも運命なのかな 

 

 

「燃ゆる想いで読み切った」という児玉清さんの素敵な帯の言葉に
惹かれ読みたくなりました。

 

本書は作者の鳥越さんの少女の時からの憧れの女性であった

樋口一葉の生涯」を小説にしたもの。

 

なるべく史実に沿うように努力されたようですが、

小説というジャンルの中で、大好きな一葉を自由に泳がせて

みたかったということで、鳥越さんの想いの詰まった
作品とも言えます。

 

さて、私はと言うと、樋口一葉については学校で習う程度の

知識しかなかったのもあり、彼女がここまでの苦労人だったとは

思ってもいませんでした。

 

正確には私が知っていたのは文学史上での、あの有名な

樋口一葉」であり、それまでの「樋口夏子」に触れたのは

この本が初めてということになります。

 

彼女の人生は常に生活に追われていたと言うことに尽きます。
父を早くに亡くし、士族の娘として育ったことに対する責任感から

15歳で戸主になり、家族を支えようと決意し作家への道を歩き始めます。

 

母、妹の邦子と力を合わせて生きて行くわけですが、

当時は女だけの世帯に対する厳しさもあり、何をするにも

大変な状況であったことが伺えます。

 

何と言ってもその生活苦は驚くほどで、明日のお金をどう工面するか、
あちこちにお金を借りに行くシーンは、この小説では日常茶飯事で

行われています。

 

そんな中、夏子は小説の師・半井桃水との出会いがあり、指導を受けながら
コツコツと小説を書きながら学んでいくが、花が開きそうで開かない…。
稼げそうで稼げない日々がもどかしく、いつ光が見えて来るのかと、
悶々とした状況が続きます。

 

作品同様、夏子の恋もまた思うようにいきません。
当時の恋愛事情が二人の関係をなんとも切ないものにし、

桃水への想いも消えては浮かび、浮かんでは消えて…

ずっと繰り返されるのです。

 

まるで「好き、嫌い、好き、嫌い」と一枚一枚花びらをちぎっては、

自分の気持ちを確かめているように見える夏子の姿はいじらくもあり、

気の毒にも思えて来る。

 

どんなに忘れようとも、どんなに離れようとも、常に夏子の心のなかに
あったのはこの桃水。いつも感情を抑えている夏子だが、この一文は、

彼女の熱い気持ちを象徴している。

 

たとえ、抱かれずとも、自分はこの男を知っている。
この男を信じている。この男を愛している。
そして、これほどに愛する自分を、一度も抱いてくれない

この男を心の底から憎んでいる。

 

 

どんなに慕っても、女として見てはもらえないのか?

プラトニックな関係が続く時間の中で漏らすこの言葉は、

グッと胸に迫るものがある。

 

そして、ようやく森鴎外幸田露伴からも認められ、これからという時に、
夏子に病という魔が襲いかかる。

そして、あえなく亡くなってしまうという…。

「どうしてだよ…」あまりの不憫さに思わずため息をついてしまう。

 

恋愛も仕事もなかなか報われることなく、24歳という若さで

逝ってしまった夏子にどう声をかけたらよいのか…。

夏子自身はどうだったのか?貴女の胸の裡を聞いてみたくなる。

 

とてもボリュームがあり、ズシッとした読み応えがありました。

もっと彼女の作品を知っていれば、この小説の深みが

味わえたんじゃないかと少し後悔しています…。

 

児玉さんは「燃ゆる想いで読み切った」そうですが、
そういう意味で私は「不完全燃焼気味で読み切った」です。

 

ということで、再読を含め一葉の作品を読み重ねようと

思っている次第です。

 

余談ですが、お金に追われた生活をしていた樋口一葉が、

現在のお札の中に居るということに、ちょっと複雑な気分でいます。

「皮肉なものだね」と、お札を見るたびに思うのであります。

 

 

 

uzumaki-guruguru.hatenablog.com

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考えるマナー

 考えるマナーのレビューです。

 

 

◆「なるほど、そうか!そうしよう!」という話は殆ど.....ない

 

 

大人を悩ますマナーの数々の疑問に
豪華メンバーがヒントや答えを導いてくれるという
回答集のようなエッセイのような読みものです。

 

赤瀬川原平井上荒野劇団ひとり佐藤優/髙橋秀実/
津村記久子平松洋子穂村弘町田康三浦しをん
楊 逸/鷲田清一

 

お名前を拝見しただけでもワクワクするものがありますが、
お題になっているマナーそのものにも興味をそそられる。

 

ざっくりとした章のテーマから各々がそれに関連する
マナーをピックアップして語る。

 

例えば「美を匂わすマナー」という章があり、

・美人のマナー
・体毛のマナー
・お洒落のマナー
・五本指ソックスのマナー
・老化のマナー

 

という感じで、メンバーが2ページ程度で内容を綴る。
ご覧の通り中には「え?そこにもマナー?」ってものも
無きにしも非ず。

 

で、この本でも群を抜いて個性炸裂した視点で
書かれていたのが、(やはりというか)三浦しをんさん。
もう私のなかで彼女の書いたものは「危険な読み物」という位置づけ。
にもかかわらず、今回も夜中に大爆笑!!

 

なかでも「降りますのマナー」はツボでした。
ほら、ラッシュ時で身動きもできない状態であるのに、
駅に着く前からグイグイ人を押して降りる準備する
人っているじゃないですか。こういう人をどうにかするために、
みなさんだったらどんな対策を立てますか?

 

しをんさんはこう答えている。
とにかく次で降りるという意思表示をすることが大事なわけですが、
なかには「次降ります」と口に出すのが恥ずかしい人もいるはず。
そこで用意するのは「笛」。しかもその笛は巻紙がカメレオンの
舌のように伸びるアレだ!(笑)

 

あれなら遠くにいる人にも「あの人次降りたいんだな」と確認できるし、
他の人を押しのけてまで行こうという勇気がある人もいないだろうと。

 

あれを咥えて乗車するって!?
カメレオンの舌が林立している車内は壮観!?・・・・ってあなた!

 

いやもう、これ、想像しただけで可笑しくて可笑しくて。
読んでからというもの、電車に乗るとその光景を想像してしまい
顔がにやけてしまう。まったく後遺症の激しい話であった。

 

ということで、一般のマナー本とはひと味違った話ばかり。
劇団ひとりさんは芸能界、荒野さんはご主人との話、
楊逸さんは中国との違い等々、みなさん持ち味を活かした
内容のものが多い。

 

個人的にはしをんさんや穂村さんの話は引き込まれるものが多く、
いろんな意味で身構えることが多かった気が。

 

雑誌のコラム的な感じで気軽にどこからでも読める一冊。
様々な回答から「なるほど、そうか!そうしよう!」という話は
殆どなかったというか、読んだ先から忘れてしまうものが多い(笑)