うずまきぐ~るぐる

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夜の谷を行く:桐野夏生

 夜の谷を行く:桐野夏生著のレビューです。

夜の谷を行く

夜の谷を行く

 

 

 

◆どんなに償っても決して終わらないものがある

 

 

連合赤軍女性兵士の話ということで、

読もうか、読むまいかかなり迷った。

 

事件に関してもほとんど知識がなく、ただただ何か

複雑で怖しい出来事。難しい話になるのだろうと

読む前から気が重かった。

しかし、読み始めたら止まらない、あっという間にラストまで

一気読みでした。

 

本書では事件そのものはそれほど大きく取り上げてはいない。

啓子という連合赤軍で活動してた女性のその後の人生と今を

描いたもので、日常の中で当時の人間関係などを回想していくと

いった感じだ。なので、すんなり小説に入っていけるわけだが、

総括とかリンチとか残忍なシーンが所々挟み込まれ、

当時何が起こっていたのか?ということが徐々に浮かび上がってくる。

 

啓子は刑務所での刑期を終え、現在はひっそり年金暮らしをしている。

家族とも縁が切れていたけれども妹とは和解し、つかず離れずの関係。

しかし、姪っ子の結婚で、啓子の過去が持ち上がり、

再び関係がぎくしゃくし始める。

 

もうひとつ、活動家の仲間からの電話。

彼の電話を取ったことから、当時の仲間たちの行方が

明らかになってゆき再会を果たすことになる。

 

消せない過去、取り戻せない人間関係。

心の闇はどこまでも深く、孤独の底へと落ちていく。

 

本書を読んでいると、掴みどころのない哀しさに

何度も立ち止まってしまう。

この気持ちは一体誰へ?どこへ?向けたものなのかも不明なまま、

またページをめくることになる。

 

犯罪者がどんなに償って、禊が終わったとしても、

決して終わらないものがある。

それが一体何であるのか、そういった目に見えない部分を

この小説は示していると思う。

 

ラストは小説らしい着地点。

ずっしりと心に重石をのせられたような展開に「ほほー」と

思わず唸ってしまったよ。

 

と、なんだかまとまらない感想になってしまったが、

わたしみたいに鉄球で建物を破壊するシーンぐらいしか記憶にない、

でも事件は気になっている・・・・なんて人には、

入りやすい内容だと思います。

 

ちょっと勇気は要るけど、関連本をいずれ読んでみてもいいかな~

という気持ちになったんだから、桐野さんの小説はやはりスゴイ。

 

 

 

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女中奉公ひと筋に生きて:吉村きよ

女中奉公ひと筋に生きて:吉村きよ著のレビューです。

 

女中奉公ひと筋に生きて

女中奉公ひと筋に生きて

 

 

 

◆女中道!どんな仕事もこなす姿が心を打ちます

 

 


「女中がいた昭和」で昔の女中さんの概要がつかめたところで、
この本を読むと「そうそうそう」と頷ける場面が多く、

いよいよ実践に入ったな…という気がしてなかなか楽しかったです。

(って、自分は何もしてないんですけどね…)



吉村きよさんは3歳の頃父親を亡くし、

幼いころから子守りなどに出されていた。


お大尽の屋敷に年季奉公に出てから、ずっと女中一筋に生きる。

 

結婚もされましたが、夫が女性と駆け落ちしてしまい、

4人の息子を育てながら、50軒を超える家庭に勤めたという

プロ中のプロ。

 

…って、簡単に50軒って書いてしまいましたが…お茶碗の

置いてある場所ひとつ考えても50箇所覚えて行ったことになる。

やぁーお見事という言葉しか出ない。

 

さて、やはり体験談。生の現場の声、実際の会話などは

信憑性もあり興味深い。

 

何といってもお大尽の屋敷での女中話は面白かったです。
「女中がいた昭和」でも、そこのご主人に貞操…云々という

問題があったのですが、やはりその手の話が登場。

 

女中の仕事は家事全般はもちろん農作業などもありますが、

なんといっても旦那様のお世話は大変です。

背中を流したり、マッサージをしたりと、何人かいる女中を

日替わりでご指名するというシステム。(そこのお宅では)
やはり、若くて綺麗な子はお声がかかる頻度が高い。

 

風呂場では、足をつかまれたとか、股の上をつかまれたなど、

女中同士で屈託なく話している。

 

また、着替えをしているといつの間にか旦那様が覗いているなど、

今ならセクハラで捕まりそうなことが、大らかに語られたりしています。
(女中同士の会話は方言で、それがまたすごくいい味を出しています)

 

また、旦那さまがお妾さんの家へ行くのを承知で見送る奥さまや、
奉公先のご家庭で亡くなる人が出たりと、まさに人間ドラマが

その家庭の数だけ存在するわけで、それをそっと見守る立場にある

女中さんは精神的にも相当強くないと務まらないということが

分かります。

 

本書は大作家のお宅の奥様と会話していて、面白い体験を

されているということでいつかお手伝いさんの体験記を

お書きなさいという言葉がきっかけで、少しずつ
書き始めたというものだそうです。

 

仕事である以上、愚痴は禁物、一に我慢、二に辛抱と、ひたすら働く。

目が覚めるようなお言葉。分かっているけど、なかなかコレが難しい。

 

 

あきない世傳 金と銀 源流篇:髙田郁

 あきない世傳 金と銀 源流篇:高田郁著のレビューです。

あきない世傳 金と銀 源流篇 (時代小説文庫)

あきない世傳 金と銀 源流篇 (時代小説文庫)

 

 

 

◆9歳で奉公に出された少女の未来をあれこれ想像して楽しむシリーズ第一巻

 

 

 

シリーズということで、今後読むかどうかを左右する大事な第一巻。

 

もう随分と前になるけれど「みをつくし料理帖」の最初の巻も、
きっとこんな感じのテンションで読み終えた気がする。

 

これからこの主人公はあらゆる問題に立ち向かい、
どんどんキャリアを上げて這い上がってゆくのだろうな。
この人とは恋仲になるんじゃないのかな?
等々、まだはじまったばかりの様相から今後の動きをあれこれ妄想する。

 

いずれにしろ、主人公である・幸(さち)の健気な姿や成長ぶりが
読者の心を打つものになるであろう。

 

内容は物がさっぱり売れない享保期、摂津の津門村で
学者の子として生まれた幸。


飢饉や家族との別離を経て、彼女は大阪天満にある
呉服商「五鈴屋」に奉公に出される。なんと9歳で。

 

幼いころから学ぶことが好きだった幸は、
女衆という立場でありながら、商いのことについて学びたい
という気持ちを抱き、やがて番頭にその才を認められる。

 

「生鍋の底を磨いて過ごす」と言われていた女衆という身分。
しかし、それでは終わらせないという幸の姿が早くも見え隠れし、
今後が楽しみとなる。

 

初巻ということで、幸のおいたちと新しい仕事環境を絡めつつ
登場人物の紹介といった流れです。

商道、一体どんな厳しさや面白さがあるのか・・・。
いよいよ、その幕が上がる。

 

 

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