うずまきぐ~るぐる

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こうしてイギリスから熊がいなくなりました:ミック・ジャクソン

こうしてイギリスから熊がいなくなりました:ミック・ジャクソン著のレビューです。

 

こうしてイギリスから熊がいなくなりました

こうしてイギリスから熊がいなくなりました

 

 

本が好き!の献本書評です。

 

 

◆ロンドンの恥ずべき秘密、そこには熊たちの悲しい過去があった。

 

 

熊の出てくる本と言えば思い浮かぶノンフィクションや小説がいくつかある。
ほとんどが日本の熊たちで、ほとんどが狂暴で怖しい動物という形で登場する熊たちだ。だからきっとこの本に登場する熊もわたしを震え上がらせるものになるだろう…と気持ちを張り詰めて読み始めたわけですが…。

でもなんだか様子が違う。ページをめくるたびに熊たちの悲しい声が聞こえてくる。

特に印象的だったのは、熊たちに酷いことをしたロンドンの恥ずべき秘密として語られた「下水熊」。

我々人間が住む町の地下に熊たちが暮らしているなんてどう想像すれば良いのだろう。

19世紀のロンドンでは、熊を下水道に閉じ込め、報酬も与えないまま下水作業員、清掃員としてこき使っていたという事実があったのです。熊たちの役目は大きく、彼らがいなければ大雨でロンドンが水浸しになり、大気にはペスト菌が蔓延しただろうと言われている。

熊たちは地下に閉じ込められ、外に出ることも許されない、囚われの身。命の危険をもある劣悪な環境の中で暮らす熊たちの様子は酷いものではあった。そんな熊たちを救済しない人間、熊の大切にしていた物を騙し盗んだ人間までもいた。

この時代の熊がいかに人間に虐げられていたのかがよく解る。それと同時に階級社会と繋がるような話とも言え、熊がいつしか下層階級の人々の姿を浮かび上がらせるような不思議な読み心地を読者に運んでくるのだった。

そもそもイギリスには本当に熊はいないのだろうか?本書を読んでいるうちにやたらとタイトルが気になりました。詳しくは調べていませんが、イギリスでは本当に野生の熊はいないみたいですね。なるほど熊と人間の関係を皮肉って描いた寓話というのも納得。

他にも人の罪を背負わされた熊、サーカスの熊、精霊熊等々、これまで読んだ熊の話とは全く異なる雰囲気の話の数々でした。

本書を読んで、一番の驚きは本当にイギリスに熊がいないということ。パディントンやプーさん、ハロッズの可愛いベアたちにテディベアのぬいぐるみたち。イギリスには世界的にも有名な愛らしい熊のキャラクターがいっぱいいるではないか?こんな歴史があったからこそ生まれたのかな~と思うとなんだか切なく胸が痛むのであった。

五番町夕霧楼:水上勉

五番町夕霧楼:水上勉著のレビューです。

 

五番町夕霧楼 (新潮文庫)

五番町夕霧楼 (新潮文庫)

 

 

 

◆蝉の一生を見ているような淡く儚い小説

 

 

若く儚く散った幸薄の女性を描いた作品です。

 

貧しい家庭を養うために、京の遊郭の娼妓になった夕子。
西陣の織元の大旦那に早々に水揚げさされるが、実は故郷で知り合った学生僧と心を寄せ合っている。

 

大旦那がいるにもかかわらず、夕子は自ら他の客取りを願い出る。
それは学生僧と会うためでもあったわけで...。

 

夕子に夢中になっていた大旦那は当然面白くない。
大旦那は鳳閣寺の住職に彼の廓通いを密告する。

 

やがて夕子は肺病を患い入院することに。
一方、学生僧は住職と衝突しとんでもないことを起こしてしまう。

 

その後の展開は幕が一気に下りたような淡く儚いものであった。
何というか、蝉の一生を見ているような気分になる。

 

こんなにも猛ダッシュで生き抜くということが、恐らくこの時代にはたくさんあったのだろうなぁと思うと、胸がツンツンと痛む。

 

悲しい話ではあったわけだけど、夕霧楼のおかみさん、おねえさんたちが、みんな心優しい人々であったことに救われる。いわゆる廓内での女同士のいじめ的な雰囲気は珍しくない。

 

ということで、
同著の「金閣炎上」、三島由紀夫の「金閣寺」を再読したくなった次第です。

 

「低気圧頭痛」は治せる:佐藤純

「低気圧頭痛」は治せる:佐藤純著のレビューです。

 

「低気圧頭痛」は治せる!

「低気圧頭痛」は治せる!

 

 

 

◆気圧不安定な日々、台風シーズンはくるくる強化!!

 

先日の大きな台風で2~3日前から頭が重く体調がすぐれなかった。「あー、また気圧だな」と思ったけれども、特に対処のしようがない。ストレッチしたりして誤魔化し誤魔化し、少しでも早く台風が去ってくれるの待つという日々。

 

そんな中たまたまTwitterで見かけた、「くるくる耳マッサージ」。その場で少しやってみたが特にどうと言うこともなく。しかし、気圧、頭痛は耳に関係があるみたいな情報があったので、さっそく関連本を探し、この本を借りてみることにした。

 

やはや気圧による体調不良って結構色々な形で出てくるものなんですね。自律神経系は特にみたです。本書は何故そのような症状が出るのか等のメカニズムが解説され、予防のための対策が書かれています。

 

先に書いた「くるくる耳マッサージ」も1日3回を目安に行うということで、開始してみました。

記録も大事みたいですね。
私も一応以前から手帳に記録してはいるのですが、こちらに掲載されている「痛み日記」を参考にもう少し細かく記録する必要がありそうです。あと意外だったのは、市販の酔い止めの薬で改善されたという報告もあるとのこでこれも頭の片隅に留めておこうと思います。

 

ということで、毎日朝昼晩、くるくるマッサージしています。
簡単なものなので気づいた時にくるくると続けやすいです。
さて効果はいかに・・・半年くらい様子をみてみたいと思います。

 

おかんメール:「おかんメール」制作委員会

おかんメールのレビューです。

おかんメール

おかんメール

 

 

 

◆最強の笑いはおかんのメールにある

 

若干、いや、かなり出遅れ感がありますが、図書館の棚に鎮座していたこの本を手に取らすにはいられなかった。

 

読んだのは年末。この時期の忙しさを紛らすために笑いを求めてサッと迷わず貸し出しの窓口へ!笑う準備は出来ていた。出来ていたけど思わず爆笑してしまう自分になぜか焦る。

 

ページをめくってもめくっても笑いがこみ上げて来る。
おかんたちメールの破壊力は芸人も顔負けです。

 

内容的に強烈に面白いものもあれば、入力などの技術未習得で仕方なく面白くなってしまっているもの、誤変換でめちゃ楽しくなってしまっているものなどバラエティ豊かな笑いが用意されている。

 

◆謎の部屋

しいたけ 夜祭室にあるからね

誤変換の例ですが、すごくミステリアスでいい!!!
しいたけ、確実にその部屋で踊っているよな。


◆町内一斉メール

 結婚します。

こちらのおかんは朝6時に一斉メール。
おかんは夫が亡くなって8年。だから受け取った子供はびっくりして電話をすると町内会の草刈りが小雨なので「決行」するという意味だったらしい。おかんの携帯は丸一日鳴り続けたそう。


さて、わたしはこちらのお母さんと息子のメールが好きです。

「あなたの息子は23にもなって雪だるまを作ってはしゃいでおります」

と、写メつけてメールを送ったら、

 

「あなたの母は52になるのにお隣さんと雪合戦してました」

 

その他にも、おかんの貼り紙やメモ書きなどの写真も掲載。
妙にリアルで視覚的に訴えてくる圧が凄いです。

最後に、絵文字に救われるようなそんなメール。

 

from お母さん
sub ニュース(^〇^)/

お父さんが リストラだよ (^〇^)/

 

なんだか頼もしい。状況は悲惨なんだけど(笑)

 

 

ということで、笑いの宝庫、おかんたち。
年末笑い納めにぜひこの一冊を!

 

※なんと続編7まであるんですね。帯の部分だけ見ても笑えます。
 

永い言い訳:西川美加

永い言い訳:西川美加著のレビューです。

永い言い訳 (文春文庫)

永い言い訳 (文春文庫)

 

 

 

 

◆読み終わってはじめてタイトルの「永い言い訳」という言葉に納得

 

 

読みたいと思いつついつも予約が入っていた本書。
先日たまたま図書館の棚にあったのでラッキーと早速借りて来たけど、なんと2015年の本だったのですね。そりゃ、もう予約待ちもないわけだ。

 

と、この本を連れて帰ったその日、野球の衣笠選手が亡くなった。
野球にさほど興味はないものの、やはりショックは否めない。
そんなニュースを耳にした日にまさかこの本を読むことになろうとは。

 

数ページ読んだところで思わず「わっ」となる。
そう、既読の方はご存知でしょうが、本書の主人公は「衣笠幸夫」なのだ。
漢字は違うが、まさに野球の衣笠からきた名前だという。

んーーずっと読みたかった本、たまたま手にしたその日に亡くなった衣笠選手。
こういうことってあるんだなぁ・・・と、なんだか忘れられない読書になった。

 

さてさてその衣笠幸夫は小説家。
不慮の事故で妻をなくしてしまうのだが、そんな状況になっても悲しむことが出来なかった男。この冷めきった関係の裏には一体なにがあったのだろうか。

 

事故で同じく妻を亡くした親子。この親子は幸夫の妻の友人一家。
幼い子供を残して父子家庭になった親子と出会った幸夫は、やがて子供たちの世話を買って出る。彼らと過ごすことにより幸夫は少しずつ少しずつ変わり始める。

 

特に子供たちと知り合えたことで父性のようなもの、もしくは人間らしさを取り戻し、自己と他者というものに向き合うようになる。

 

とにかく幸夫と言う男、自己愛は強いし、コンプレックスも強く、なにかとややこしい性格で、要所要所イラっとさせられるのだ。

 

けれども、そんな彼のどこか凝り固まった面倒な部分や、淋しさや、孤独が、子供たちの存在によってまるで雪が溶けて行くかのように変化するあたりから目が離せなくなってくる。子供たちに必要とされるということが、彼をどんどん成長させてゆく。

 

しかし、ある日幸夫は妻の遺したあるメッセージを知ってしまい再び突き落とされる。荒れてしまった幸夫は友人一家の元を去ってしまうのだが・・・。

 

幸夫はやはり変われないまま終わってしまうのか?そこはベストセラーになった小説だけにラストシーンがなかなか見えてこない面白さと不安が入り交じる。

 

大切な人を失って初めて気づくということは世の常だ。
幸夫は失っても尚その大切さに気付けない自分に苦しむ。

 

生きていくためには心の整理をしなくてはならない。
ラストに見せる幸夫の全力の言葉はこの小説のあらゆることを浄化させるものであった。

 

そして読み終わってはじめてタイトルの「永い言い訳」という言葉がストンって音を立てて落ちていく感じがしたのだった。