うずまきぐ~るぐる

本の紹介や日々のことをぐるぐるかきます

月と雷:角田光代

月と雷:角田光代著のレビューです。

月と雷

月と雷

 

 

 

◆もしあの時…が終始頭の中をよぎる小説

 

 


もし、あの時あの人と関わっていなければ、

自分の人生どうなっていただろう?

なんてことを、ふと思ったりする時期が誰にでもありますよね。


特に、仕事、結婚など人生の節々に振り返った時、

あの時の「もし?」がひょっこり顔を出して来ます。

 

この「もし?」と「普通とは何か?」を

終始問われるのがこの小説。


普通の家族・家庭・健全な恋人関係・まっとうな母親像とは

一体なんだろう。

 

放浪癖のある母親。
意味もわからずあちこち連れまわされて育った智。
そんな母子がある日突然、泰子の平和だった家庭にやってくる。
子供であった泰子は、母親が出て行ってしまったことはこの母子のせいと
感じているが、寝たい時に寝て、食べたい時に食べて、
学校に行かなくても叱られないこの女と息子と奇妙な生活に馴染み、
人生の一時を過ごすことになるが、やはりこの親子は次の居場所に向かう。

 

やがて時が過ぎ、離れていた3人が再会することになる。
あの時子供だった2人は結婚適齢期に入っている。

 

この小説で個人的に注目したのはこの母親の奔放な姿。
飼い主がいつまでも定まらない野良猫のような不思議な人で、
若者2人よりむしろ彼女の生き方につい目がいってしまった。

 

その息子である智も、やはりどこかこの母親に似ていて

ちゃらんぽらんなのだが興味が惹かれなかったのは何故かなぁ…。

 

再び一緒に暮らし始めるこの三人はどこか依存しあって
生きているようにも見える。


普通を願いながら、この場所こそが自分の居場所、

ここしかない的な諦めと嬉しさが混じっているような…。

何か掴みどころのない登場人物たちの話なんですけど、
どーして、こうもずっしり来ているのか…。

 

あの時、この母子に出会ってなければ、

この泰子の人生はどうなっていたのかな?
「普通」を求めて「普通」を手に入れ幸せになれたのか?

 

「永遠っていう言葉なんて知らなかったよね~♪」という

あの曲のフレーズが最後に私の中で湧き出したこの小説。

 

自分の人生にもそんな「もしあの時」を思い出してみたりもした。
けど、結局はどうあろうと、今の自分を受け入れて

生きて行くしかないんですけどね。


そして、普通のつもりでも普通でない部分が

自分にもたくさんあるのかもしれないと。

 

 

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命短し恋せよ乙女:中村圭子編

命短し恋せよ乙女:中村圭子編のレビューです。

 

命みじかし恋せよ乙女: 大正恋愛事件簿 (らんぷの本)

命みじかし恋せよ乙女: 大正恋愛事件簿 (らんぷの本)

 

 

 

◆恋に駆ける女性たちは今よりむしろ自由に恋愛をしている気がする

 

 

マツオヒロミさんのイラストが好きで、

是非読みたい!と飛びついた一冊。

 

内容的には知られている事件が多めです。

 

不倫とか心中とか三角関係とか、昔の人たちの方がお盛ん

だったようにも感じられたが、取り上げられている人々が

特殊な世界に居た人たちだからだろうか?

それとも一般の人々も結構激しい恋愛をしていたのかしら?

 

中には恋愛関係じゃない男女が心中するなんてことも起きているけど、

こういうのってどういう心境なのかな。

 

写真・イラスト多めです。

かの有名な白蓮×宮崎龍介氏の話はいつ読んでも面白い。

紆余曲折あったわけだが、二人の子供を交えた家族写真は微笑ましく

癒されるものがあった。

あと、白蓮が龍介にしたためた手紙の夢二絵封筒の美しさったら!

 

また谷崎の「妻譲渡事件」は諸説あるのだなぁーと。

本書を読んでだいぶ印象が変わった。

 

とにもかくにも、今よりもずっと濃ゆい恋愛をしていた人々を

半分羨ましくもあり、半分そこまでして・・・という気持ちが

入り交じり読了。

 

盆まねき:富安陽子

盆まねき:富安陽子著のレビューです。

盆まねき

盆まねき

 

 

 

◆お盆を疑似体験して来ました!

 

 

私は両親も東京育ちなので、休みを田舎で過ごすという行事がなかった。
だから帰省のニュースを見ると「混雑して大変だな」と思う反面、
ちょっとした毎年恒例のお祭り騒ぎに参加できる人々がちょっぴり
羨ましい…と、今でも思います。

 

そんな「田舎なし」の私ですが、田舎で過ごすこの話に一気に夢中になり、
───お盆やすみ中!しばらく声をかけないでください───
というプレートを背中に貼っておきたいくらい、この空気感が良くって
他の世界をちょっと遮断したくなる気持ちで読んでいました。

 

なっちゃんという少女が毎年夏に行く笛吹山のおじいちゃんと

おばあちゃんのおうち。
たくさんのいとこや親戚のおじさん、おばさんが集まって来るお盆。

 

子供にとっては、いとこたちと遊んだり、駄菓子屋に行ったり、
盆踊りに参加したり、楽しい娯楽が毎日待っています。

 

この話はそんな田舎で過ごす8月12日から8月15日までの話です。
各章、おじいさん、おばちゃん、大ばあちゃんの話で構成され、
昔にあったちょっと不思議なお話が織り込まれています。

 

かっぱが出てきたり、月のうさぎの話があったり、
─────「これはおじいちゃんのほら話だよね?」
と、動揺を薄めるためにこんな言葉が頭の中で繰り返されます。

 

そんな話を興味深く聴いたなっちゃん自身も不思議な体験をします。
特に「盆踊りの夜」のなっちゃんの見たものは、とても幻想的です。

 

この話は「お盆」というものが一体どういったもので、

何故必要なのか、故人への供養をしっかり子供たちに

伝えていることも忘れません。

 

そして本書の最後には「もうひとつの物語」が用意されています。

 

「みんなが忘れたとき、その人は二度目の死を迎える。」

 

グッーーと胸が詰まるようなこの話に、お盆の「真の意味」を
さらに教えられた気がしました。

 

いとこの年長さんたちとの関わりや、親戚でもちょっと苦手な人が居たり、
ああ、そういうことってあったなぁ~なんてノスタルジックな気分も
味わえてしまうこの物語はむしろ大人になってからの方が楽しく
読めるものかもしれません。

 

もうすこしここに居たい。でもまた来年にね。
そんな田舎で過ごした数日を、疑似体験させてもらった気がします。

 

 

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