うずまきぐ~るぐる

本の紹介や日々のことをぐるぐるかきます

優雅なのかどうか、わからない 松家仁之

昔の恋人に偶然出会った、さぁ、どうする?

離婚してひとりに戻ったからって昔の恋人とまた始めるなんて。
いや、ひとりに戻ったからこそ、自分の気の向くままに。

昔の恋人と偶然再会し、そして彼女がもし近所に住んでいたら・・。
はじめる?それとも、終わったものは終わったものと蓋をする?
すでに、この時点から選択ははじまっている。

 

 中年独身男性の選択肢とは?

 

優雅なのかどうか、わからない

優雅なのかどうか、わからない

 

主人公は48歳、離婚したばかりの男性。
彼が一人暮らしに選んだ場所は、吉祥寺の築50年以上の
古い一軒家で、 諸事情により外国で暮らすことになった
老婦人から借り受けたもの。

内装は自由に替えて構わないということで、
老朽化した家の改装をしながら 自分好みの部屋へと作り上げる。

ひとつひとつ計画的に部屋作りをすることの愉しさは
心ときめく部分が多い。

部屋を改装するのと同時に、彼は昔の恋人にばったりと再会する。
しかも、彼女はなんとご近所さん。
二人は距離を縮めてゆきます。

大人の彼が見せる「純情」な一面がちょっと良かったり、
歯がゆかったり。

がしかし、彼女と同居中の父親が突然倒れ、そして認知症に。

住まい、大人の恋愛、家族、繋がり。

ひとりになった彼には思いがけない選択肢がいつの間にか増えてゆく。
目まぐるしい展開の中で、彼自身の今後の選択はいかに・・・・・。

優雅に見えた生活も、思いがけない出会いや関係を
築いてゆくことによって 現実味を帯び、本当に手に入れたいものに
彼は気づく。

「優雅なのかどうか、そんなことより・・・」こんな余韻の残るラスト。
最後の一行は彼の想いが吐き出され、これがなんとも清々しい。

本作はありふれた生活を描いたものにすぎない。
だからと言って、生活感が出すぎるといった感じもなく、
全体的にあくまでも スタイリッシュな香りが漂う。

松家さんの小説特有の空気感、時間の流れが確実に存在し、
いくら読んでも疲れない、時間を忘れさせてくれる異次元感があった。