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【レビュー】蛇行する月 桜木紫乃

 

 

 蛇行する月 桜木紫乃著のレビューです。

 

蛇行する月 (双葉文庫)

蛇行する月 (双葉文庫)

  • 作者:桜木 紫乃
  • 発売日: 2016/06/16
  • メディア: 文庫
 

 

駆け落ち、極貧、でも幸せである彼女の人生

 

1984年から2009年までの話。

道立湿原高校で同じ図書部員だった清美、桃子、美菜恵、直子、順子の卒業後の様子を綴った内容で、前作「無垢の領域」と比べると個人的にはかなりスルスル読める作品でした。

気だるさ、錆びた感じ、どうしょうもない女の業・・・・
「来た来た来たー」と、徐々に桜木さんのドロンとした世界に連れて行かれました。

 

20歳も年の離れた男性と駆け落ちした順子。
その後の実生活はよれよれのTシャツを着ているほど極貧で決して羨しいものではないのだけど、どんなに生活が大変で疲れているように見えても「しあわせ」と言いきる彼女のその自然さに、ドキッとさせられるものがある。

 

このまっすぐな感じがある意味怖くもあり、またそうさせているものはなんだろう?と考えさせられる。お金持ちだけど、なんだか殺伐して淋しそうな人もいるけど、順子はそのま逆な存在。

 

 

 

着地点から見る「しあわせ」の在り方

 

本書を読んでいて「しあわせ」の形をあれこれ考えてたけど、色々あっても最後の「着地点」なんだなぁ。順子の着地点はどこか桜木さんの処女作「ラブレス」の主人公に
通じるものを感じる。

 

不幸だからより輝くしあわせ。
最期に心から想える人がいることのしあわせ。

本人だけが知っている真のしあわせに圧倒されるのだ。

 

桜木さんの根っこ、原点を振り返るような作品になっていると思います。