青い目の王子 三田誠広著のレビューです。
ブッタ誕生の物語
ガンジス流域の王国に誕生した青い目の王子、ニラナーヤナ。
古代インドを舞台にしたブッダ誕生の物語というわけですが、仏教について知らない人が楽しめるように書いたそうで、そういった意味では小難しい箇所もなく非常に読みやすかったです。
しかし、内容は実の母親との別れや、継母との関係など、結構シビアで王子の孤独がひしひしと感じられることもしばしば。
そんな王子には動物や鳥たちと不思議な力をもって心を通わすことが出来るなど、心の温まるシーンもあります。
運命に翻弄されつづけるこの王子。
恋愛・冒険・を内容に盛り込みつつ、最終的には、インド人の世界観・輪廻転生をしっかり感じさせられる見事な作品になっている。
全体的に静かでしっとりとした雰囲気です。
読み終わった後も、小鳥のさえずりと、竪琴がどこからともなく聞こえてきそうな世界でした。そうそう、挿絵も版画調で素敵でした。
この本を知ったのは借りて来た本の間に挟まっていたいわゆる「新刊案内」のミニチラシ。チラッと見ると、まずこの綺麗な装丁画が目に飛び込んで来た。
「インド」「王子」…なんか好きなフレーズばっかじゃないの!ということで読むことに。本の出合いって、本当に色々な所に転がってますねぇ。