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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】アリスの見習い物語:カレン・クシュマン

 

 

 アリスの見習い物語:カレン・クシュマン著のレビューです。

 

アリスの見習い物語
 

 

 名もなき少女のはじめての仕事

 

寒さをしのぐため、温かい堆肥のなかで眠るシーンからはじまる物語。
青くやせこけた少女には家族も家もない。たぶん12-3歳だろう。
名前はなく、ブラット(ガキ)と呼ばれているのです。
彼女は村から村へと放浪している。

こんな悲惨な境遇の少女の姿に、早くも殺伐とした
気持ちになるのだけれど、ある日、ジェーンという産婆と出会い、
彼女の見習いとなることに。

ジェーンという産婆は口も悪く、決して彼女にとって
居心地の良い関係ではなかったけど、それでも、
生きて行くためにはここでの生活は切り捨てることはできない。

彼女はジェーンに付き添い、お産の現場に向かう。
ジェーンからは直接産婆の技や知識を教えてはくれない。
なので彼女は窓越しから中の様子を観察し、
知識や技術を身につけて行きます。
罵倒されながらも、このあたりから彼女の生活が息づいてきます。

しかし、実践という場面で、彼女は何もできず、
町から逃げ出してしまうのです。
しばらく、別の場所で仕事をするのですが、再び村に戻るのです。
そのきっかけとは・・・・。

 

 

 

逃げ出した彼女を再起させたものとは?

 

いつの時代も、自分の仕事に自信をつけるのに必要なことは

「成功体験」。たった一度でも、この経験があれば、ちょっとの
挫折くらい乗り越えられる。

彼女は成功した体験もなく、いきなりの実践に躓き、
逃げ出してしまうわけだけど、やがて成功体験をすることによって、
また人に認められることによって自分がしたいことが明確になってゆく。

遠い昔から届いた話は、やりがいとか生きがいなど、
自分にとって何が必要なのか、そっと教えてくれている。
そしてあきらめないで続けることを。

そうそう、「ミッドワイフ」と呼ばれていたお産を
手伝う人についても興味深い。
薬用植物を用いて、お産に立ち会う。
効能があるかどうかは別として、当時の出産事情も
よく描かれていた。

響きがきれいで、親しみやすい名前ということで
彼女は名前を自分で「アリス」とつけました。

この先の彼女の人生が、名前の通り愛される
女性になることを願わずにはいられません。