小公女:フランシス・ホジソンバーネットのレビューです。
繰り返し感動を与えてくれる名作
高楼方子さんの「緑の模様画」を読んでいて、どうしても再読したくなった「小公女」。ちょうど酒井駒子さんの素敵な装丁画の本が発売されていて、これは!と思い読んでみました。
うん、もう素晴らしいの一言に尽きる。名作というものは、何度読んでも、繰り返し感動を与えてくれるものなんだと改めて実感した。
なんといっても主人公のセーラの魅力は言うまでもないのだけど、脇役の子供たちもなんとも愛おしいのです。特にベッキ―と、そして、セーラが以前、パンを恵んであげた
乞食の子もちゃんと幸せになっている結末にこの物語の根底に流れている温かさを感じずにはいられません。
それは、セーラと父親との愛情いっぱいだった時間が再び戻ってきたような、安らかで温かいものが読者の気持ちを満たしてくれるのです。
今回すごく感じたのは「想像力」の大切さ。
セーラはどんなにひもじい生活になっても「想像力」を使って楽しみを見出している。
また、「想像力」をもって他人の気持ちを察し、思いやる。
一方、ミス・ミンチン先生やセーラを敵対する生徒たちは現実の事柄にばかりに囚われ、セーラの状況が変わると途端に態度を変えてしまう。その意地悪さがより一層セーラの存在を際立たせたという、彼女たちの存在もまた素晴らしかったように思えてしまいます。
この健気な少女セーラが、どのようにしてつらい時期を乗り越えたか・・・。
何度読んでもきっと、新しい感動に出会える物語だと思うのです。