なみだの穴: まはら三桃著のレビューです。
ふと出現する「なみだの穴」って?
「涙活」っていうものが巷では流行っているらしい。
意図的に涙を流しストレス発散をさせるという狙いで、
泣きたくてもなかなか泣けない人々のために、
あえてそういう場所を提供しているんですってね。
泣けない人のための涙はどこへゆくのだろう?
「なみだの穴」は泣きたくても泣けない人々の前に
ふと出現する。
ふだんは海にあるというこの穴は、
泣きたいのを我慢している人に、涙を流させるために
流れくるのだ。
親の転勤で友だちと離れ離れになってしまった。
何かを犠牲にしたり、我慢して頑張ったけど、
結果が出ない悔しい思いをした。
身内が亡くなっても、泣けなかった、泣くのを堪えた。
大人も子供も、涙をため込んでしまうことって
日常場面で結構あるんですよね。
そんな涙をどこかで一回流さないと・・・
という発想をもとに、きっとこのお話が生まれたのでしょう。
船のシーンから入るはじまる話は、
最初からちょっと謎めいていて楽しかった。
「なみだの穴」について教えてくれたストロングさんのことも気になるし。
さて、なみだの穴が見えたらどうなるの?
あれよあれよと元気になった人々の姿が心地よいです。
まさに、浄化!!