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うずまきぐ~るぐる

本の紹介や日々のことをぐるぐるかきます

サーカスナイト:よしもとばなな

 サーカスナイト:よしもとばなな著のレビューです。

サーカスナイト

サーカスナイト

 

 

この包まれてゆく感じ、言葉にするのは難しい。

 

ますますばななさんの世界が確立されていっているなーと、
感じずにはいられない作品。

あとがきに書いてありましたが、
「ゆるくだらっと読んでほしくて書きました」というばななさんの

言葉からも、内容自体はとても淡々とした主人公の日常を

描いただけのものだけど、ばななさんの放つ言葉のひとつひとつが

とても意味があるように感じられ、その言葉たちが雪のように

降り積もっては、心に溶けてゆくような作品であった。

生きている人の日常があると同時に常に死んだ人の気配を感じる世界。ばななさんのここ最近の小説は「死」と「生」の共存

より一層深くなり、大切な亡き人との繋がりがくっきりと

感じ取れるものが多い。

主人公さやかは亡き夫・悟との間に生まれた娘と暮らす女性。
ある日彼女の元へ1通の妙な要望が書かれた手紙が届く。
差出人は元恋人、一郎からのものだった。

この手紙をきっかけに、さやかの人間関係が動き出す。

過去の悲しい事件から、さやかの親指は骨が砕けて動かない。
一体何が?それは、一郎と付き合っていたころに溯る。

ここに登場する人たちは、大切な誰かを亡くしたり、
辛い過去があったりする。
これは何も小説のなかだけではなく私たちもみんな大なり小なり
経験があるとは思うのだけれども、ここに出てくる人々のように、
他人に対して、こんなにも寛大になれるだろうか?
こんな風に相手を思いやれるだろうか?
・・・と、終始自分に問いかけてしまう。

さやかは早くに両親を亡くしてしまったし、結婚も間もなくこの世を
去ってしまう人とするという悲しい境遇のもと生きている女性だが、
娘も生まれ、夫の両親に静かに見守られながら生きている。

読み進めるごとに夫の両親をはじめ、人々の「愛」を感じられる
場面に出会い、柔らかい感情が幾層にも重なり合い、
読者も包まれてゆくのだ。
この包まれてゆく感じ、言葉にするのは難しい。

人と人との縁(えにし)とか、繋がりとか・・・
守ったり、守られたり・・・

ばななさんから出てくる止めどない言葉の意味を
ひとつひとつ噛みしめて・・・。そんな読書だったと思う。

 

バリ島も満喫!

 

舞台は日本とバリ島
あの島は本当に何かがいると私も思っている。
本書でもそんな島のスピリチュアルな部分が詰まっています。

心の中に何かがチャージされる島。
昼はけだるく、夜は空気が活気立つ。
そして深夜に不思議な夢をみる。

そんな空気感がたまらなくいい感じで描かれていた。

余談ですが、この本を読む1週間前から、私の左親指が、
腱鞘炎の一歩手前状態で通院中。

さやかの親指の話が登場した時の驚き!といったら。
偶然が偶然を呼ぶ。
もはや、ばななさんはそういう域にまで?(笑)
ということで厚い本、指を庇いつつ結構ハードな

読書タイムであった。