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可愛い女: アントン・P.チェーホフ

 可愛い女: アントン・P.チェーホフ著のレビューです。

可愛い女 (チェーホフ・コレクション)

可愛い女 (チェーホフ・コレクション)

 

 

落ち込んでは浮上し、浮上しては落ち込んで

 

むふ、これを読めばすこしは「可愛い女」に近づけるかしら?
なんて、ちょっとした野心を持ちながら読み始めたわけですが、
あれ、あれれ・・・と読み進めて行くうちに、可愛い女という
言葉が分からなくなってきたという。

主人公オーレンカはふっくらとした、笑顔が似合う心優しい女性。
遊園地の経営者クーキンという、ちょっと愚痴っぽい男性と結婚し(喜①)
彼の仕事を手伝いながら、穏やかな生活を送っていたのだが、
クーキンはモスクワ滞在中に病気で急死してしまう。(悲①)

夫が不在中は、夜も眠れず一晩中、窓辺に腰かけて
星を眺めていたオーレンカ。
そんな彼女に訪れた不幸、彼女は取り乱し、立ち直れるのかと
不安になるのも束の間。

悲しみのどん底にいたオーレンカに優しい言葉をかける
男性・材木倉庫の管理を任されているワシーリーが登場。(喜②)

彼の評判などを聞き、オーレンカは熱病にかかったように、
一気に恋に落ち、ふたりはやがて結婚する。彼ともうまく
生活していたのだが、またもやワシーリーも急死する。(悲②)

ひえぇー、またか! 大丈夫か?オーレンカ。
…と、思うのも束の間。

以前からよく遊びに来てくれていた獣医と交流を深める。(喜③)
彼は妻と別居していて、息子とも会えずにいる。

やがて、獣医がシベリアに送られ、数年後戻って来るのだが、
彼は妻とよりを戻し、家を探しているという。そんな彼に彼女は
「わたしの家になさい!」と誘い、獣医一家と一緒に暮らすことに。
獣医の妻は姉の家に入り浸っていたので、息子の世話を
オーレンカがするようになる。

すると、どうだろう。
いままでどんよりしていた彼女の生活も再び
イキイキとしたものになる。

 

ぷっ。可愛いってそういうこと!?

 

・・・とまぁ、落ち込んでは浮上し、浮上しては落ち込んで、
オーレンカの人生はなんて目まぐるしいのでしょう。

惚れっぽく、好きになると、どこまでも相手に
同化しちゃうような愛情深い女性。

それなのに次の相手が見つかると、すっと切り替え、
その男性に夢中になる。喜怒哀楽の落差が激しく、
落ち込み方も半端じゃない。

それは見方によれば、自分がない、依存性の高い女性に見え、
あまり好感が持てないなぁ・・・とブツブツ言いたくなりそうな

ものの、彼女があまりにもまっすぐで、常に必死な様子が憎めなく、
思わずクスリと笑ってしまえるような可愛さを感じてしまう。

「あっ!そういう可愛さか!」
      …と、今、書いていて気づいてしまった(笑)

前回読んだ、「いいなずけ」 (チェーホフ・コレクション)は、
自分の人生を切り開き、自立を目指す女性でしたが、
本作はどこまでも、相手に寄り添ってゆく女性像を描いたもの。
同じ作家でも、まったく別のタイプの女性を描いた

作品になっている。

ということで、私の想像していた女性とは違ったけど、
無意識に「可愛さを感じてしまう」って書いてしまった部分に
着目してほしい。
これはまさにチェーホフ・マジック!最後に来て、言わされた!

「可愛い女」というより、「憎めない女」だったよ。
  ・・・と言うつもりだったのに。ちっ。(悲③)

 

 

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