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うずまきぐ~るぐる

本の紹介や日々のことをぐるぐるかきます

日本観光ガイド:酒井順子

日本観光ガイド:酒井順子著のレビューです。

日本観光ガイド

日本観光ガイド

 

 

外国人になった気分で読んでみる

 

酒井のさんのエッセイは日常のなんてことない部分を
かなり面白くしてくれるような内容が多く、
一度読んだら継続して読んでしまう何かがある。
冷静な語り口調で、本質を見抜いた鋭い突っ込みに
いつも唸ってしまうのである。

そんな酒井さんのエッセイ。
今回は日本に来た外国人に語りかけている体で日本のあれこれを
紹介していきます。こういう試みは酒井さんにしては珍しい。

ある外国人が成田空港に到着するところから、
案内人が説明していくといった運び。

しかし、スタートからちょっとした疑問が…
恐らくこの本を外国人が読むとは思えない。
「一体誰に対して書いてるの?外国人?日本人?外国人?日本人?」
といった自分の中での悶々とした感情が邪魔で邪魔で。
慣れるまでは自分の立ち位置が定まらず読んでいて

違和感があったのです。

ようやく設定にも慣れ内容をじっくり読み始めると、

やはり面白いんです。

 

奥の奥が見えるガイドに脱帽

 

例えば、「富士山」というテーマ。観光ガイド的視点で行けば、
その周りにある富士五湖だったり忍野八海とか無難な紹介に
なると思うのですが、女人禁制の山だったことから始まり、
樹海界隈の様子を紹介。
「おぉーそっちに行くんだ?」とちょっとした感動!

そこから自殺大国である我が国の話へ展開。
「ただ今、○○駅において起きました人身事故の影響は…」という
アナウンスされる「人身事故」とは、ほとんどの場合「自殺」のことだ。
よくもまぁそんな細かい所まで切り込んでいくなぁーと思わされる。

日本一の山、正々堂々とした姿を誇る山の麓に暗く湿った森。
そこで死を選ぶ人が多いという現実的な話をきっちり示しているあたりが他にない観光ガイドと言えよう。

こんな感じで「いかにも日本!」というテーマでも馬鹿にはできない
内容がポンポンと出て来る、出て来る。
よさこいソーラン祭りとヤンキーを関連付けるあたりは脱帽でした。

この本の内容をナレーションにして、DVDを作ったら
かなり面白くなりそうな予感。観光に来る人々にはもちろん、
日本語学習をしている人々への教材としても役立ちそうだ。

エッセイ的には普段のパンチが若干少ない気もするが、
まぁこういうのもありかな。