もじゃもじゃ:渡辺淳子著のレビューです。
お見合い初日にハンバーグ、割り勘!
関西弁を話す人々と、このタイトルから、
コメディタッチの話なのかな~と思っていたけど、
意外にも結婚にまつわる大きなテーマを
真剣に描いたものだった。
表紙のもじゃもじゃ頭の人がおばちゃんに見えたのだけれど、
この人、1つ目の話に登場するクリーニング店に勤める
24歳の男性。
市が運営する結婚相談所『かいつぶりの会』に
登録している男性なのだ。
この小太りな年下男、もじゃもじゃとお見合い
することになった明美。初対面でお茶の後、
いきなりハンバーグ店へ連れてかれ、会計は割り勘。
その一連の行動や発言に驚かされるが、不思議と嫌な感じはない。
しかし、交際となると・・・。
結局、明美は他の人をまた紹介してもらうことになるのだが、
なんだか妙にもじゃもじゃ頭の彼のことが頭から離れない。
その後もクリーニングしてもらいに行ったり、
フラットな付き合いが続いていたりする。
この二人の行方はどうなるのか心配しながら最終章へ。
結婚式の風景が広がるのかと思いきや、今度は結婚相談所の
運営側の人々の話に移り変わる。
こちらは親世代の話で、娘や息子の将来を案じ、
彼らの結婚について頭を悩ます。
結婚させたい親と、結婚がすべてではないと考える娘。
よくある話なのだけれど、読み進めるごとにどちらの気持ちも
切ないほど心に迫ってくるものがあった。
この話が一番グッと来たかな~。
紹介は陽気なおばちゃんの声から
3つの話が収められている。どの話も面白く
相談所からかかってくるお世話係りのおばちゃんの電話の声が
小説の中での合いの手のようで、いい感じのリズムになっている。
「こんばんはーかいつぶりの会ですー。元気にしてはる?」
この電話がかかってくると話が展開するので、
おばちゃんの電話はわくわくしたものだ。
結婚相談所、実際にもいろんなドラマがあるんだろうな~。
サクラとかいるんだろうか?
「幸せは~歩いて来ない、だから歩いてゆくんだよ~♪」
読み終わってから、こんな音楽が頭の中を巡った。
ちょっと古いけどね(笑)
そうそう、もじゃもじゃとはどうなった?
ぜひ、本書でご確認を!