クマの名前は日曜日:アクセルハッケ著のレビューです。
感想:一転する世界がシュールで楽しい!
ねぇ、名前なんていうの?
なんでなんにもしゃべらないの?
なんで抱きついてこないの?
キスだって一度もしてこない。
ずっとすわっているだけ。
じゃなければ、寝ているか、立っているか。
せっかくいろいろ話しかけているのに、うんともすんとも言いません。ヒドイ!
この関係は一体???
まぁそれも仕方がない。
だって少年はクマのぬいぐるみ相手にしているのだから。
最初は名前がないから答えないのかと思っていた。
だから名前をつけてあげた。
初めて会ったのが日曜日だから「日曜日」って。
名前をつけてもクマの態度はかわらない(そりゃそうだ)
だから少年はついに癇癪をおこし、壁めがけて日曜日を投げつけた。
少年はある日、クマの世界に入り込んでしまう夢をみる。
そこではぼくがぬいぐるみという立場になる。
少年がぬいぐるみになって見たクマの世界は!?
じわじわとこの世界に入り込んでゆく。
特に夢の入り口のシーンは、可笑しいくらいシュールだ。
また、クマたちの生活ぶりがこれまた人間みたいで面白い。
さて、少年は無事に過ごせるだろうか?
ラストに目にするトイレのシーンは、あれあれ?と、笑ってしまう反面、ちょっと怖かった。デジャブみたいだけれど、何かが違う!
なかなか凝ったお話だった。
すべてはもっと日曜日と仲良くなりたかったから。
なんでなんでは、もっと日曜日のことを知りたかったから。
こどもが持つクマに対するもどかしい感情、なんか分かるよ。
可愛いがりすぎると余計にね。投げたくもなっちゃうね(笑)
挿絵も素晴らしい。
クマの世界の絵はずっと眺めていられたなぁ。
この本について
出版社 : 岩波書店
発売日 : 2002/6/21
言語 : 日本語
単行本 : 39ページ