アラスカの小さな家族 バラードクリークのボー: カークパトリック・ヒル著の
レビューです。
感想・あらすじ あたりまえのありがたさに気づける物語
ゴールドラッシュ後のアラスカの村で生活している人々の姿をいきいきと描いた作品です。
日常です。ここに住む人々のごくごく普段の生活なのですが、私たちの生活とはまるで違った日常。手紙がやっと届く生活と、毎日決まった時刻に手紙が届く生活。
私たちが当たり前のようにポストから手にする郵便物と、彼らが心待ちにしてやっと手にする郵便物。
本書はそんな私たちが当たり前でもう感動すらしないありがたさを感じさせてくれる場面が多い。
バラードクリークの町で犬がいっせいに吠えはじめると、郵便配達が近くかまで来たんだなと、みんな気がつきます。郵便配達のマックスさんがそり犬を引き連れて遠いところからやってくる話が私は一番好きです。郵便物を指折り数えて待っている人々の姿がとても印象的です。
物語は5歳の少女ボーを中心に、世界中から集まった鉱夫たちとの交流や伝統的な生活等々、28の話が綴られています。
ボーは早くから事情により母親と別れ、ある心優しい男性2人に育てられている。だからボーにはお父さんが2人いるのだ。
この町には鉱夫をはじめ、町の人々がいつも助け合って生活をしているので、町全体が家族のような雰囲気。なにか問題があれば、相談したり、集まったり、いつも賑やかだ。
愛情豊かな人々に包まれて
アラスカという土地柄、夏と冬の生活の違いも興味深い。また、やはりと言おうか、クマの登場でボーが危うく・・・というシーンや、医療環境があまり良くないという状況など厳しい現実とも向き合わなければならない。
日々生活してゆく上で大変そうだなぁーと思う場面も多いけど、なんといっても、この物語全体に流れている愛情豊かな生活はなにものにも代えがたい。
天真爛漫なボーを追いかけながら、アラスカの大地を堪能。挿絵からも賑やかで、あったかい愛情が溢れている。そんな1冊であります。