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リリコは眠れない:高楼方子

 リリコは眠れない:高楼方子著のレビューです。

リリコは眠れない (スプラッシュ・ストーリーズ)

リリコは眠れない (スプラッシュ・ストーリーズ)

 

 

思春期という闇の旅

 

五人兄弟の真ん中の子リリコ。
個性的な兄妹に比べると、自分はなんの取り柄もないと
コンプレックスを抱えながら日々をすごしている。

眠れない夜、暗がりの中で壁に飾られている
ジョルジュ・デ・キリコの1枚の絵を眺める。
そして、連絡が取れなくなった仲良しの
スーキーのことを想う。

リリコはこの絵の中に一人の女の子を見つける。
その子はスーキーに似ている。リリコは彼女を追いかけようとする。

す・る・と・・・

なんと絵の中に!?
そして、汽車に乗り、不思議な旅がはじまります。

ここからかなり幻想的な世界が広がってゆきます。
とは言え、ふわっとした感じではなく、
かなりグロテスクなシーンも。
これがいつもの高楼さんの作品にないちょっとした
黒さがあり新鮮な驚きが。

特に客車の舞い込んできた蝶たちを袋詰めにして、
それを一匹一匹取り出し、壁に押し付け、黒い背中の真ん中を
ブスッとピンでつきさす少女の姿は狂気に満ちていて恐ろしく
感じられる。

しかし、さまざまな不思議なシーンを目の当たりしてゆくうちに、
ひょっとしてこれは誰もが通る思春期という「闇」の世界なのでは
ないかと言うことに気づかされる。

不安やコンプレックスや嫉妬。
そして友達関係、ほのかに感ずる恋の予感。

複雑ないろんな感情がぐつぐつと心の鍋で煮込まれてゆくような。
鍋の底は深い深い闇。そんな少女の心の中を
覗き込むような話なのだ。

 

いつもとちょっと違う作風、しかし軸は一緒だと感じる

 

いつもの高楼さんの作品とちょっと作風が違うかな?
とも感じられたのだが、「親友」「ほのかな恋」
「少女の内省する姿」「成長」等々、全作共通する部分も
ちゃんと存在していると、読み終えてから実感した。

針の飛んだレコードを何度も聴いている感じで、
なかなかトンネルを抜け出せない・・・。
あぁそうか。思春期ってこんな感じだったかな?

でも、そこに光を差してくれるのはやっぱり
友だちの存在だったように思える。
リリコにもやがてそれに気づく日が訪れる・・・だろう。

 

 

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