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それを愛とは呼ばず:桜木紫乃

  それを愛と呼ばず:桜木紫乃著のレビューです。

それを愛とは呼ばず

それを愛とは呼ばず

 

 

珍しく舞台が北海道だけじゃない!

 

ずっと北海道が舞台の作品を書き続けていた桜木さん。
目次を見て、「うわぉ!」と2度見。
新潟、銀座、南神居町…等々、ついに動いたな!と
勝手に興奮してしまった。

いや、でも釧路も入っているからやはり北海道は健在です(笑)

さてさて、本作も読者の前に不幸の影を引きつれ来る男女。
伊澤亮介は新潟で手広く事業をしているやり手の10歳年上の妻が、
交通事故で意識不明になってしまう。それを機に義理の息子の陰謀で、北海道へ追いやられる。

一方、白川紗希は銀座の老舗キャバレーで働きながら
タレントをめざしていたが、結局芽が出ずタレント事務所から
クビを言い渡される。

そんなどん底にいた二人が、紗希の店で出会ってしまうのだ。
「なんであの時出会ってしまったんだろう・・・」よくあることだが、この二人もほんの短時間お酒を共にしたばかりに、

なにかが少しずつ歪んで行くことになる。

特に紗希の様子が徐々に「?」「?」と感ずることが
多くなってくる後半。

静かに静かに彼女の中で変化が起きているようだが、
それがなんなのか、掴みどころのない不気味さがあり、
一体どこへ話が向かうのか判らなくなってくる。
でもどんどん引きずられていくような・・・。

 

一気に来たなぁーとラストを振り返る

 

ズドン!と最後に崖から突き落とされるような衝撃が起きる最終章。
あまりに唐突すぎて、文字を目で追うのだが、
なんだか頭がぼんやりしてしまう。
「どういうこと?どういうこと?」と、考える間もなく

ラストページへ。

はっ!・・・・。(タイトルの意味が鮮明になる)

桜木作品の大半は、暗くともほんのわずか光が見えるような
ものが多かったが、これはちょっと違う。それがいつもと違って
新鮮と言えば新鮮だけど、やっぱりちょっとでも明日への

救いが欲しい。

さて、この作品で興味深かったのは、紗希がデイケアセンターで
朗読のアルバイトをしていたシーン。
老人たちを通して見る「性と死」の考察が絶妙。
桜木さんには老人の心理を扱った小説をいつか

是非書いて欲しいと思う。

 

 

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