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なつかしの小学校図鑑:奥成達

 なつかしの小学校図鑑:奥成達著のレビューです。

なつかしの小学校図鑑 (ちくま文庫)

なつかしの小学校図鑑 (ちくま文庫)

 

 

「あった、あったー」「やった、やったねぇ」

 

この本を読んでいて、何度この言葉をつぶやいては
にやりとしたことか。

とはいえ、筆者の奥成さんは昭和17年生まれで、
だいぶ先輩にあたる方なのだが、それでも私の
知っている昭和の小学校に共通している部分は多く、
「あった、あったー」とにんまりしちゃったわけです。

なんかもう、今となってはすっかり忘れかけているものというか、
文字や絵を見て、あんな風景やこんな風景まで思い出す始末。

上履きのゴムの部分の色や、保健室の匂い、
注射をするときの緊迫感。黒板消しの掃除のときのチョークの粉。
出席簿の黒い表紙、プールの目を洗う蛇口、お医者さんの往診。

画板とか、習字の道具とか、体育着の袋とか、
身体はまだ小さいのに持ち物がいっぱいあったんだなぁーと
感慨にふけったり。

あーあー、本当にたくさんあるものだ。
まるで映画の回想シーンを見ているような世界。

 

風景と一緒に匂いまでも蘇る

 

漠然と小学生のころを思い出すと言うものと違い、
具体的な日々の出来事を鮮明に思い出させられる1冊。
意外にも風景と一緒に、匂いも蘇るものなのですねぇ。

音楽室の話で、準備室(先生の部屋)から、いつも珈琲の
芳ばしい匂いがしたことまで思い出してしまった。

音楽室→日当たりがいい→肖像画→オルガン→グランドピアノ
そして珈琲の香り。こんな感じで脳内が一気にグルグル回りました。

ゲーム機もスマホもなんにもなかった時代。
素朴すぎるほど素朴に感じるけど、なぜか
ホッとしてしまうものがある。

バリバリ昭和臭の強い本だけど、ニヤニヤが止まらないのは、
きっとこの時代を知っている人のみがわかる世界なのだ。