中年だって生きている:酒井順子著のレビューです。
タイトル通り、中年ネタ満載で大変面白い
酒井さんご自身が、身を持って日々の生活から抽出した
話題は同世代にはたまらない内容で、思わず笑ってしまうもの、
耳をふさぎたくなるもの、そうそうと何度も頷いてしまうもの
等々・・みるみる共感の渦に包まれてしまうのですな。これが。
ほんと、なにげない日常のひとコマをよくもまぁこんな風に
キビキビと語ってくれることか!
…と、毎度同じことを言ってしまうわけだが。
チヤホヤされた時代を経た女性たちの現在の複雑な心境。
そして変化する生態。老化してゆく身体のこと。
どれも身につまされる。
同窓会の話はとてもシビア。同性・同じ歳の目って本当に怖い。
誰しも心の中で感じていることを敢えて文字にする酒井さん。
あぁ、なんて残酷な。
若者の心遣いに気づけていますか?
また、酒井さんの視点はとても客観的で、自分たちのことを
若い人たちはどう見ているかという部分まで切り込んでくる。
「いいですよね~、バブルの時代。キラキラして楽しそうで。
私もバブルって経験してみたいです!」
言われたことありませんか?
これを「若者達の心遣い」だと酒井さんは言う。
私も職場で歳の離れた後輩女子に言われたことがある。
確かに彼女はいつもこちらを立ててくれるような気遣いが
あるわけですが・・・。
そうなんですよね。この心遣いに気をよくして、
思わずペラペラ話してしまいそうになるんだけれど、
自慢話になりかねないとぐっと堪えたことがありました。
もし彼女が本当に知りたかったら、あれこれ質問してくるはずだと、
その時は思ったんですよね。この話を読んで危ない危ないって
変な汗が出てきそうでした(笑)
「バブル」の章は、浮ついているバブル世代と、
地に足がついた生活を送る若者たちの対比が
なかなか面白かった。というか、良い戒めになりました。
「勘違いおばさん」にならないためにも、
中年必読の1冊であると思うのです。
若い人はこの本、ピンとこない話が多いのかも知れないけれど、
やがて誰しもこの厄介で中途半端な年齢を経験する時が訪れる。
私もついこの前まで、おばさんたちの言動に「?」って
思うことも多々あったけれど、気づけばあっという間に
橋を渡っていた(笑)
それがどんなことなのか、予習しておけば、
中年ライフは安泰かも!?