花園の迷宮:山崎洋子著のレビューです。
昭和7年、横浜の遊郭で繰り広げられるサスペンス!
最近濃ゆい内容のものを望んでいる私にとってかなり満足のゆく内容でした。
仲良しである2人の少女が横浜の遊郭に売られて来たところからはじまる。美津はすぐに客相手の仕事に入るが、まだ公娼として働ける年齢に達していないふみは下働きをして過ごすことになる。
しかし、早々に美津は客を刺殺し、自分は毒を飲んで自殺をしてしまう。美津のことをよく知るふみは、この事件には他に犯人がいるのではないかと、働きながら情報収集に励み、真実を探る。
やがて、この遊郭で事件は繰り返され、死者も増え・・・。
読むほどにあの人もこの人も怪しく思えてくる。
様々な人々の過去が複雑に絡み合い、本当に迷宮に迷い込んだような気分にさせられる。
死んだ者も生きている者もどこか謎めいていて、なかなか掴めないもどかしさや、ふみの大胆な動きに終始ハラハラさせられたりと、全く読者を飽きさせない話の運びは巧みだなーと、感じずにはいられません。
この人にはこんな過去があったのか?そしてさらにその過去にあの人が絡んでいたという、幾層にも重なる過去の出来事から意外な展開を見る。
最後の最後まで、この重苦しい遊郭にどっぷり浸からせてもらいました。
著者の作品には横浜が舞台のものが多く興味深い
ミステリー作品はなかなか入り込めないことが多いのですが、やはり設定が自分の好みのジャンルだと入りやすいなーと実感。
今回、舞台としては珍しい横浜の遊郭ってことにもかなり興味が持てました。実際、どんな雰囲気だったのでしょうか。
山崎さんの作品は「横浜」が舞台のものがまだまだたくさんあるようです。あらすじをざっくり見ただけで読みたくなるようなものが多いので、追々、読んで行こうと思います。