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雲南の妻:村田喜代子

 雲南の妻:村田喜代子著のレビューです。

雲南の妻

雲南の妻

 

 

妻のわたしが女を娶る

 

「私」は、智彦の妻であり、英姫の夫となった。
なんのことやらとお思いでしょうが、
妻である女が、異国の地で女を娶ったのです。

あわわ・・・、すごい設定です。
どこでどういうことがあって、こんなことになってしまったのか?
普通だったらびっくりするような話なのですが、
この一見理解し難い奇妙な状況も、実は全然不自然でもなく、
すーっと受け入れてしまうような空気がこの作品にはある。

言うなれば、どこか遠い国のおとぎ話を聴いているような、
ふわふわした感覚の中で、彼、彼女たちと一緒に過ごし、
不思議な世界を漂って来た感覚が残る。

お茶の輸入の仕事で夫とともに中国に住むことになった私。
現地で夫婦は少数民族で才女の英姫を通訳として雇うことにする。

夫はある日、高級茶の取引を考えるが、よそ者が手に入れるのは
難しいとのこと。そこで英姫は、妻である私と結婚をすれば
お茶が手に入るという提案をする。
要は婚姻関係が成立していれば、お茶が手に入ることになる。
その村では女同士で結婚する風習があり、特に珍しいことではない。
女たちが協力して働き稼ぐということがごく自然な形であるという。

最初は戸惑っていた夫婦も、やがてこの提案を受け入れる。
そして、3人の共同生活がはじまる。
3人の関係はこんな風に繋がっていったのだ。

3日おきに夫と英姫の部屋へ寝る場所を変えて生活する私。
このシーンは実にドキドキするものがある。
ギリギリな感じの描き方が本当に上手い。
決して下品にならず、それでいてエロチック。

そんなドキリとする場面もあれば、のどかな茶摘みの

場面などもある。
知らない土地なのにどこか郷愁を誘うような風景描写に

うっとりさせられる。
あぁ、この読み心地は村田さんならではの世界だなぁ。

 

ラストまで気が抜けない村田作品

 

「屋根屋」の主人公の妻も、この話の主人公も共通するのは、
淡々としているようで、ちょっと普通では考えられないような
大胆な行動を起こすところが面白い。

そして、村田さんの作品のもうひとつのお楽しみはラストだ。
なにもなくは終わらない・・・と、今回もワクワク度が高まる。

本作もやはりラストで思わぬことが起こる。
それは少し切ないものであったが、こうなることで、
雲南での生活がどこか夢の中の話だったかのように感じる。
なにもかもが曖昧に淡い霧に包まれてゆくような読後感。
まったく癖になる。

「結婚」という言葉だけを切りと取ると重々しくなってしまうが、
女同士の生活は異性に感じるストレスもなく楽ちんで楽しそうだな…
なんて感じさせられた。

こういう風習をもつ村が実際にあるのかは分からないけれど、
読み終わる頃には完全にあってもおかしくないなーと
思った次第です。

やはり村田作品は思わぬ方向へ流される。
もうすっかりファンです!

 

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