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眠れる美女:川端康成

 眠れる美女川端康成著のレビューです。

眠れる美女 (少女の文学 1)

眠れる美女 (少女の文学 1)

 

 

若い女の無心な寝顔ほど美しいものはないんですって。

 

谷崎から川端へちょっと寄り道をと思い、
かの有名な「眠れる美女」から読んでみようとその扉を開いた。

読んだのは正解だった。
数ページ読んだだけで、
「カワバタサン、アンタモスキネェ」とニヤリニヤリの私。

こうなるとどうしても比較してしまう谷崎と川端。

谷崎の変態性はもう行くところまで行った突き抜け感があるけれど、
川端の方はずっと「はぁはぁ」横で言われているようなじっとり感と、湿った仁丹の匂いがページから漂って来るような、
嗅覚にも迫って来るものがある。

まだこの一冊で川端さんの変態度をジャッジするのは失礼な話ですが、ムッツリ―な感じは間違いない。

眠れる美女」は、枯れた老人・江口がなにやら怪しい会員制の宿を
知人に紹介され、裸体を晒し、眠り続ける若い娘に添い寝して一晩を過ごすという奇妙な話。
(ただし、この娘に一切手を出してはいけないというルールがある)

この娘たちがどうしてこのような怪しい場所に居るのかは
明かされていないのだが、強い眠り薬を飲まされ、
ただひたすら眠り続けているのだ。
彼女たちはその晩の出来事はなにも覚えていないという。

この宿に通うようになる江口老人は、その都度違う娘の部屋に

通され、そっと触れたり、眺めたり、匂いを嗅いだりしながら

若かりし頃の恋人や自分の娘などを思い出す。

さて、後半ちょっとした事件が起こる。
この宿である老人が亡くなったという。

不穏な空気が流れはじめ、やがて、江口老人の身近にも
その「死」が纏わりついてくる。

・・・と、最終的にはなんとなくミステリーな匂いがする。

なにせ、この秘密の宿自体謎が多い。
娘たちがなんでこんなことをしているのかも謎のまま。
飲んでいた薬は睡眠薬なのか?
宿の女も何にも動ずることなく、ひんやりしたムードだし。

なんだか謎だらけーな気分にさせられるのだけれど、
やはり文豪・川端さん、美しい文体に飲み込まれてしまったのか、
そんなことはすでにどうでもいいような気がしてくる。

要は、
 「若い女の無心な寝顔ほど美しいものはない」

これに尽きるのだ。

自分の生涯も日ごろの塵労もやわらかく消えてしまうほど、
若い女の寝顔は老人にとっての癒しなのだ。

 

ラブドールを愛する男性たちとどこか重なる

 

老境の男性のことは良く分らないが、女の私が年を取って

美しい若い男子に添い寝して欲しいか?と考えると、

ん~嫌かも!(←いらぬ妄想だが(笑))

だって、ピチピチ弾むような若人の肌なんかを目の当たりにしたら、
くらくらしちゃう、もしくは、自分の老いをもっと感じて

しまいそうだもの。
どちらかと言うと、猫とか犬とかの寝顔の方がいいなぁ。

私的には以前読んだ人形を愛する人々のことを思い出した。
ラブドールをあたかも生きている娘のように愛しむ人々と、
眠り続ける娘と添い寝する江口老人の姿はどこか重なるものがある。

果たして今、川端さんがラブドールを見たらどんな反応を

するのだろうか?
着物の裾をひょいと持ち上げ、猛ダッシュで添い寝しに

走るのだろうか?(笑)

※少女の文学シリーズ ── ヴィジュアルを組み合わせた、

新しい文学を提唱
ということで、美しい娘の写真が掲載されている。
なくても十分イメージできる川端作品であったけど、

こうして写真があるとより生々しいとでも言いましょうか。

やっぱ赤い本って・・・。