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うずまきぐ~るぐる

本の紹介や日々のことをぐるぐるかきます

黒蜜:小池昌代

 

黒蜜

黒蜜

 

 

うす暗い空気を纏う小池さんの世界

 

14の短編集。
子どもたちを扱った話なのですが、大人っぽい雰囲気。
子どもたちの無邪気な姿などは登場することがなく、
どこか薄暗い空気を纏っている・・・そんな小説の数々。

小池さんの短編集を読むのはまだ2冊目ですが、
面白い、けど掴みにくいといった印象が強い。
どうも読み終わる頃になると、霧の中に包まれちゃっているような・・・。
読み終えたあとの「ぽつり」とした感覚がなんとも言えません。

14の中から1つ好きな作品を挙げるとしたら「九月の足音」。

夏休みが終わるギリギリの日。
明日から学校がはじまる憂鬱な少年の気持ちが
とてもよく描かれている。

昆虫採集をする少年。
公園で虫を取ってくれたおじいさん。
箱にたまった夏の収穫物の蝉。
標本作り。

夏休み最後の日に少年は、
「菓子箱のなかの乾燥した蝉たちのように、
自分も永遠の夏に、ピンでとめられたい」と、強く思う。

窮屈な学校を考え、
「自分よ、虫になれ、自分よ虫になれ」と強く念じる。

永遠の夏にピンでとめられたい!
なんて解りやすく、素敵な表現なんでしょう。
もう休みが終わってしまう切なさが痛いほど伝わってくる。

 

夏休みのひとコマから見えるものは人生そのもの

 

でも永遠に続くものなんてないということを、
うっすら意識している少年。

どんなものにも死が待っている。
おじいさんも、自分も、いつかはいなくなる。
いま鳴いている蝉の鳴き声がたとえ同じものだって
同じ蝉じゃない。

「あらゆるところに変化は訪れる」ということを意識しながら、
夏休みは終わる。人の生命もいつかは終わる。

もしかしたら、人生そのものが夏休みなのかもと感じさせられる話に
わたしも、永遠の夏にピンでとめられていたい・・・と、
思ってしまう。

14ページ足らずの短い話のなかに、なにか人生そのものが
詰まっているような話でした。

相変わらず内容を上手く伝えられないのですが、
掴めないなりにこれでも作品を堪能している・・・つもりです。

どの話もちょっとヒンヤリしたムードと
煙にまかれちゃうような不安やザワザワ感が残る。
・・・って感じかしら。

 

 

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