読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

うずまきぐ~るぐる

本の紹介や日々のことをぐるぐるかきます

ハンサラン愛する人びと:深沢潮

 ハンサラン愛する人びと:深沢潮著のレビューです。

ハンサラン 愛する人びと

ハンサラン 愛する人びと

 

  

在日の人々の悲喜交々を描く

 

静かに人気がある本!?
なにせ1年以上、いつも一定数の予約待ち人数があり、
なかなかタイミングがつかめず、気にしながら時が過ぎていました。

ようやく読めることになった「ハンサラン愛する人びと」は、
R-18文学賞受賞作。

なかなか骨太の作品でした。
在日の人びとの生活を、非常に解りやすく小説にされている。
日常、なかなか見えにくい部分ではあるのですが、
そこに焦点をあてて、在日の人びとの賑やかな家族風景や、
計り知れない苦悩等々かなり踏み込んで描いているのではないかと
思います。

同胞との結婚や、日本人との結婚はなぜ難しいのか?
スポーツと帰化、家族で行う年中行事、風習、しきたり
介護にいたるまで、人びとの日常をつぶさに再現。

この小説で軸になっているのは「金江のおばさん」という
在日同士の縁を結ぶお見合いおばさんです。
このおばさんを通して、ちょこっとずつ繋がる人びと。

以前、韓国人の知人から「同姓同本不婚」という話を聞き、
「じゃー、好きになった人が同姓同本だったら恋愛も結婚も
諦めるのか」と思わず熱くなって訊いたことがある。

答えは皆揃って「そう」だと言う。
同じ名字だと出身や家系図的なもので相手の根っこを
調べるそうなんです。
だからキムさんがキムさんを好きになったら、
まずはそこを確認するらしいのです。

どんなに好きでもここをクリア出来なければ諦める

ということですが、特にそれを不満と感じている

様子もなかったのです。

現在は法律も少しゆるくなったようですが、
日本人以上に韓国人の婚姻事情は複雑そうです。
ましてや在日ともなると、出会い自体も難易度が
高くなるということは想像に難くない。

 

なかなか知り得ない部分を小説を通して見る

 

そんな社会ではお見合いおばさんの存在は大きく、
結婚を望む男女に頼まれれば、条件からペアを作り、
どんどん縁を繋いでゆきます。
まさにやり手おばさんです!

とにかく様々な年齢層を取り上げ、多面的に在日の人びとの
暮らしぶりを掬い取って行くので、退屈することなく
どの話も夢中になれます。

日々のままならぬ葛藤を含め、力強く生きている人びとと、
在日のコミュニティの繋がりなど、なかなか知り得ない部分を
この小説を通して見せてもらいました。

うん、なかなか骨太! 
6つの話はどれも読みごたえありです!