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うずまきぐ~るぐる 

*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】BAR追分:伊吹有喜

 

 

 BAR追分:伊吹有喜著のレビューです。

BAR追分 (ハルキ文庫)

BAR追分 (ハルキ文庫)

 

 

 

新宿の裏路地にて・・・

 

新宿三丁目の交差点付近の路地裏にあるBAR(バール)追分。

昼は定食やお茶が楽しめるバールで、夜はバ―になるという
本当にちょっとありそうな小さなお店の風景を描いた小説。

ねこみち横町の奥にあるこのお店。
昼間は可愛いらしい女店主。夜は白髪のバーテンダーが
お客さんをもてなしています。

プロローグから4つの話が展開される。
シナリオライターを志す青年の生活、結婚する娘と父親の
ちょっと切ない話、「ねこみち横丁振興会」の人々等々、
登場する人々の様々な人生模様を覗きながら、
いつしか誰もがこの町の雰囲気が好きになっちゃうような
気持ちの良い小説。

 

 

 

人間模様だけでなく、食欲も刺激され・・・。

 

なんというか人々のサラッとした優しさが心地良いのです。
ベッタリ馴れ馴れしいといったものではなく、適度に
相手のことを観察しつつ、本当にしんどそうな時に、
さっと動いて手を差し出してくれるような・・・
そんな大人の人情みたいなものがほんのり伝わって来ます。

また、追分という場所と人生の分岐点が自然に浮かんで来ます。
ずっとここに留まってはいないであろう人々の分岐点などを
考えながら、次々と紹介されるお料理とお酒に思い切り
食欲を刺激されまくりました。

カレーが食べたい、ジンが呑みたい、秘密のお風呂にも行きたい!
と、すっかり「ねこみち横丁」の一員になった気分で読了です。

伊吹有喜 さんの「なでし子物語」が大好きなのですが、
この小説はそれとはガラッと雰囲気が異なり、
色々な顔を持った作家さんなのだなぁーと感じました。

余談ですが、私はずっと新宿のゴールデン街のイメージで
この話を読んでいました。
しばらく行ってないけど最近どうなんだろう?