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恋を追う女 小説マリー・ローランサン:山崎洋子

 恋を追う女 小説マリー・ローランサン山崎洋子著のレビューです。

恋を追う女―小説マリー・ローランサン

恋を追う女―小説マリー・ローランサン

 

 

ローランサンのイメージがすっかり変わりました

 

淡いパステルカラーに、ふんわりしたタッチで。
浮かび上がる女性ち。
絵のことは良く分らないけれど、マリ―・ローランサンの作り出す
色彩には、うっとりとさせられるものがある。
そして、なんだか分からないけれど、紅茶とケーキが食べたくなる。
なんというか「午後の紅茶」の人というイメージが(笑)

さて、なぜ突然マリー・ローランサンかと言うと、
先日山崎洋子さんの小説を読み、他の作品も読みたくなって
調べたところ、全く違うジャンルの小説を書かれて
興味をもったのがこの本。

私生児として母と二人で慎ましい生活をしてきたローランサン
やがて芸術の世界の扉を開け、人を好きになることを覚える。
詩人アポリネールを付き合い、いつしか彼女の周りには
たくさんの人々が集まり始める。

本書の楽しさは登場する人々が本当に豪華!
ピカソをはじめ、ジャン・コクトー、ココ・シャネル、
日本人には堀口大學やチラッとフジタ等々、大物が次々と登場する。
そのたびに「おぉ!そうだったのか!」と感動の嵐。

モンマルトルの「洗濯船」と呼ばれたアトリエでの仲間たちとの
会話や、母と娘の暮らしぶり等、ローランサンの生活は生き生きと
したものだった。

そして、恋。
本気のものもあれば、浮気なものもあった。
恋愛から兄妹愛のようなものに変化することが多い彼女。
そうなるとすーっと冷めて、心を一気に閉ざす。

詩人アポリネール、結婚したドイツ人男爵のオット―、
同性であるニコルとの恋愛。

亡命先スペインでの生活は、パリの華やかさから一転して
ローランサンの鬱々とした様子が映し出される。
そこを救ったのが親友のニコル。彼女との恋愛でローランサン
また元気を取り戻すのだが、ニコルにも家族もあるわけで・・・。

ローランサンは、いつも自分を理解してくれる唯一の人を
求めていたが、その恋が成就するようなことはなかった。

 

「鎮静剤」の一行が心に沁みる

 

本書はその時代時代で描かれたローランサンの絵画や、
彼女が写った写真が掲載されている。

彼女の歩いた道のりと、そのときどきに描いた絵画。
今まで見て来たローランサンの絵とまるで感じ方が
変わった自分がいた。
午後の紅茶」とか言っていた、浅はかな自分に失笑。

さて、晩年彼女が一緒に暮した人は・・・。
母親とのかつての生活を思い出させるような晩年の生活。
安らぎがある生活である一方、孤独と言う
闇からは決して抜け出せなかったのではないかと私には
思えた。

─────死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です。

ローランサンが詠んだ「鎮静剤」の最後の一行。
誰のことを想って綴ったのでしょうか?
深々とした気持ちが残ります。

 

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