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うずまきぐ~るぐる

本の紹介や日々のことをぐるぐるかきます

おとぎ話の忘れ物:小川洋子

本の紹介(絵本)

おとぎ話の忘れ物:小川洋子著のレビューです。

おとぎ話の忘れ物

おとぎ話の忘れ物

 

 

 ひっそり待ち構えているゾワゾワ感。

 

「小川さん、怖いってば…。」

ひとつの話の終わりに必ず、この言葉が思わず出てしまう。
そして、ゾワッとした寒気が5秒後に背中を走る。

人魚って女性のイメージが強かったのですが、
男性の人魚が登場する話は初めて読んだ。
女の人魚に奉仕し何の見返りも求めず死んでいく男の人魚たち。

そう言えば昔、マドンナのライブで男の人魚たちが
彼女にまとわりついてうっとりした表情で舞台を
賑わせていたシーンがあったなぁ。
まさに、マドンナのために尽くすというちょっとマッチョな
男人魚たちはこの話の人魚たちの姿と重なる。

男の人魚は海面に浮かびあがれず、
地上に姿を現すことができません。
地上の光を浴びると、身体が溶け海の泡となってしまうという。
なので深海の底で一生を送るのです。

本書で取り上げられている男人魚は
「人魚宝石職人の一生」という話に出てきます。
この職人が作った首飾りは一体どんなことを巻き起こすのか?

 

樋上公実子さんの美しくエロティックな絵に酔いしれる

 

その他…
赤ずきんの赤の意味は?
アリスという名前の意味は?
愛されすぎた白鳥の運命は?

どれもこれも最後に大きなゾワゾワ感が
ひそっりと待ち構えています。

そして、この本の魅力をさらに強めているのは
何といっても樋上公実子さんの美しくエロティックな絵の数々。

実はこの絵が先に出来て、あとで小川さんが物語を作ったそうです。
絵を見てこんなにも素敵な話を作ってしまうなんて…やはりプロだなぁ。

本の構成も絵が数ページ続けて掲載され、そのあとに物語が来る。
なので最初は「この絵は何を意味するのか?」と不思議な気分で
眺めるのですが、読み終えて改めて見ると、なんとなく分かったような
気になリました。

「忘れ物図書室」にはこれらの珍しい本が集まっている。
一体、誰がどこから集めたものなのだろうか?
このあたりの設定も本書の面白いところ。

口の中にキャンディーひと粒放りこんで、
どっぷり大人のおとぎ話にハマってみたくなります。
私はこの本の雰囲気がすごく好きで大満足でした。