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だれかの木琴:井上荒野

だれかの木琴:井上荒野著のレビューです。

 

だれかの木琴

だれかの木琴

 

 

◆彼女のなかで一体なにが起こっているのか?

 

誰かのことが熱狂的に好きだとか、
一向に振り向いてくれない相手にどうにかして
自分の存在をアピールしたい…などから、
非常識な行き過ぎた行動をしてしまうのが、
いわゆるストーカーと言うものだと思っていました。

この小説はストーカーの話なのですが、
私がイメージしていたタイプのものと違って、
別の意味でちょっと怖いと感じました。

引越しした新しい街の美容院にはじめて訪れる普通の主婦。
「また来て下さい」という営業メールを送る美容師。

このメールに返信したことから、主婦の行動が
どんどん豹変していきます。
ターゲットになってしまった男性美容師、
やがてこの主婦の異様な行動に気づき、
笑っていられない状況になるのです。

しかし、この主婦、
特別この美容師を好きになったというムードでもなく、
なんでこんなことをしているのか自分でも分からないという様子。

そして読者にも「何でだろう?」という気持ちを最後まで
抱かせたまま、話が静かに進んでいくという
曖昧な怖さがありました。

 

◆何がきっかけで陥るか解らない得体の知れないもの

 

そんな風になるわけがない、私は大丈夫…と、
自分で思っていても、ちょっとした淋しさやストレスがきっかけで
起こり得る世界もあるということをこの本で再確認させられた
気がします。

平凡な生活の中に、じんわり迫ってくる正体のない魔の実体は
一体なんでしょうか?

メールの音は今もなお、どこかで鳴り響いているはずです。

 ※2012年、レビューを始めた時に書いたものです。 
  今回、本作が映画化されるとのことで引っ張り出して来ました。

 

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