読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

うずまきぐ~るぐる

本の紹介や日々のことをぐるぐるかきます

キップをなくして:池澤夏樹

 キップをなくして:池澤夏樹著のレビューです。

キップをなくして (角川文庫)
 

 

◆きっぷをなくしたら、駅から出られなくなって…

 

なんと言っても、やっぱり池澤さんの小説、発想が面白い。
そして、最近読んだ「双頭の船」もそうだけど、亡くなった人との
別れの「時」をとても大事にされている作家さんなのだなぁ…と、
強く感じました。

「キップをなくしたら、駅から出られない。

キミはこれからわたしたちと一緒に駅で暮らすのよ、ずっと」

 

ちょっと設定が怖すぎる…と思ったのですが、
これが意外にも面白く描かれています。

キップをなくしたことにより、イタルは駅の子になりました。
駅の子は東京駅構内の小部屋で生活を共にします。
食事は駅中の食堂、キヨスクのものは全てタダ。
洋服などは遺失物の期限切れのものをもらうなど、
生活自体はとても快適。

電車で遠出も可能なので駅弁を買いに行ったりと…
でも、改札から外には出られない。

そんな駅の子たちには、大事な役割が与えられている。
その仕事とは?そして、子供の中にはミンちゃんという、
駅で亡くなった子も含まれています。この子は何故ここに?

設定自体が不思議なことばかりで、次の展開が知りたくて
とてもとてもこの本を手離すことができない時間でした。

ミンちゃんは幽霊だし、その他の子供たちはこのままずっと
駅で暮らすことになるのか?や、謎の駅長さん等々、
ゾワゾワ来てもおかしくない内容なんですけど、
そんなことは全く感じなかった。

 

◆舞台は北海道へ・・・ジワジワ来ます

 

とにかく、次から次へと不思議なカードを出して来る池澤さん。
ん~~参った参った。

さて、後半はどんどん話が進み、そして、クライマックスへ。
舞台は北海道まで移動します。こちらは、涙がジワジワと…。

読後は夏休みの終わりを感じさせられるような、
ちょっと切なく寂しさが残ったけど、これは決して
嫌な感情ではなく、むしろ充実した時間を
噛みしめているような感覚でした。

ステーションキッズ達と過ごしたひと夏。
私も忘れられない思い出となりました。