読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

うずまきぐ~るぐる

本の紹介や日々のことをぐるぐるかきます

浮世女房洒落日記:木内昇

浮世女房洒落日記:木内昇著のレビューです。

 

浮世女房洒落日記 (中公文庫)

浮世女房洒落日記 (中公文庫)

 

 

◆明日のことより今日のこと!大らか人々の日常は心地よい

 

お江戸もの、久々読みましたがいいですね~。
江戸の庶民の生活や人々のやり取りは、
読んでいるだけで元気が出る。

 

とかくあれこれ不安や心配事が絶えない現代人。
江戸時代の人々だってもちろんいろんな悩みを
抱えてはいるんだけど、「明日のことより今日のこと、
なんとかなるさ!」的な大らかな気持ちで生活している
姿勢にものすごく憧れるものがある。


そんな江戸庶民の日常がつぶさに見えてくるのが本書。

 

神田で小間物屋を商う27歳のお葛。
大正初期の古い洋館から彼女の日記が
発見されたことからこの話は始まります。

 

日記はある年のお正月から大晦日までのまる一年。
各月ごとにくくられる日記から、江戸庶民の
風俗や行事が覗ける。

 

だいたいいつも注釈ってきちんと読まないのですが、
本書は注釈もとてもためになるので必見です。


話の流れから江戸の知識が刷り込まれてゆくような
感じで、自然に学べるのがこれまた良い。

 

さて、お葛の日常は・・・。
働くことよりお酒とお祭り好きのお気楽夫を
伴侶にもつ彼女。


家計はいつもぎりぎり状態で、喧嘩が絶えない夫婦。
お店のことは、デキタ使用人がいてなんとか
なってはいるが・・・。

 

もはやお葛は夫に諦めモードであるが、
家計も喧嘩も時が過ぎればなんとかなっている
ところが爽快。

 

 

◆男も女もやっていることは今と同じ!?

 

 

読んでいるといつの時代も男と女の関心ごととか
生態は変わらないなー
と思わされる場面も数多く、クスリと笑わされる。

 

男がコソコソ出掛けて行くシーンや、
ちょっと褒められただけで図に乗るとか。
女房たるもの本当に夫の習性をよく解っているものです。

お葛の皮肉めいた言葉が可笑しい、可笑しい。

 

女たちも日々是美容と格闘したり、お団子を食べに行ったり、
男前にうっとりしたり。 an・anの特集記事になるような
女性の関心ごとって本当に昔から変わらないんだなぁ~。

 

お葛は今で言う「消防士萌え」の人で、
彼ら見たさに火消し現場についつい駆けつけてしまうという、
哀しい性を持つ。

 

また、他人の恋愛現場に遭遇してドキドキしたりやきもきしたり。
その都度見えるお葛の人柄に触れ、こんな人がご近所に
居たら楽しいだろうな~なんて思ったりした。

 

要所、要所、笑いがこみあげてしまう場面もあり。

おっちょこちょいの夫婦が見せた各々の湯屋の失敗話は、
どちらの話も爆笑。なんだかんだ似たもの夫婦なんだなぁ。
暗い湯屋を活かし、とてもウマイ話になっている。

 

まるまる1年、私もこの長屋で生活した気分で読了。
すっかり馴染んだ長屋の生活とご近所の人々と
離れ難くもあり・・・。
除夜の鐘の音をお葛さんと一緒にしみじみ聴いている
自分がそこにいた。