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うずまきぐ~るぐる

本の紹介や日々のことをぐるぐるかきます

味なメニュー:平松洋子

味なメニュー:平松洋子著のレビューです。

 

味なメニュー

味なメニュー

 

 (本が好き!の献本書評です。)

◆登場したお店の食べ物、飲み物が「憧れ」のものと化してゆく

 

キリッとしたテンポのよさが際立つ平松さんの
エッセイのファンです。
そんな平松さんのうれしい新刊「味なメニュー」。

 

タイトルからしてこれは用心しないと、
「あれも食べたい、これも食べたい」と収拾がつかなくなりそうな
予感がしたものだから、とりあえず読んだらすぐ寝られる深夜に
読むことに。

 

案の定、予感は的中。
本を開く行為は、もはやお店の暖簾をくぐるのと同じ。
一気に食べ物に囲まれてしまっているではないか。
ご丁寧にお品がきも差し出される!?

 

登場する品目はこの時期を意識してなのか?と
猜疑心がムクムク湧き起こる。
「シチュー」「煮込み」「おでん」「大衆居酒屋」と、
冬になると食べたくなる料理やお店が続々と現れる。

 

布団の中にいるのに、美味しい匂いの湯気がもうもう立つ
店内で顔を赤らめ、ほくほくと料理を食べている風景が
浮かんでしまう。

 

ずるいな~ほんとに。

 

今回、平松さんはお店の方々のお話をじっくり聞いて、
それを丁寧に書くといったスタンスで話が進む。

 

代々引き継がれて来た味の秘密、料金、メニューの変遷等々、
知ることによってさらに行ってみたい、食べてみたいという
気持ちを煽ってくる。

 

 

◆絶え間ない努力があってこそ・・・

 

 

美味しそう~と唸るばかりではなく、新たに知り得たことも多い。

オフィス街のランチタイムにお弁当を売りに来る「キッチンカー」
の一日の仕事や、買いに来るOLたちの「昼どきの事情」という
対談など、売る側、買う側の視点からの話も非常に面白かった。

 

また、デパートの地下や、駅のホームにある「ジューススタンド」。
スタンドの野菜ジュースってちょっと高いな~なんて
思っていたけれど、いやいや、お店を出していること自体
努力の賜物。高いなんてとんでもない。
本当に大変な商売だということがよく解る。

 

というわけで、読んで行くと、あら不思議。
登場したお店の食べ物、飲み物全てが
「憧れ」のものと化してゆく。

 

青汁なんて、てんで興味がなかったのに飲みたくなったし、
朝から「飲み屋」なんて考えられなかったけれども、
1000円札を握りしめ、赤羽で朝から酔っぱらってみるのも
いいかもしれない!など、新鮮な心の動きがあった。

 

いやぁー予想通り、誘惑度の高い本でありました。

 

生ビール   360円・・・・・
肉じゃが   180円・・・・・
のりマグロ  150円・・・・・
煮込み    110円・・・・・

 

憧れのメニューを胸に刻み、美味しい匂いの湯気に包まれる。
こんな想像をしながら眠りに就く読書は数日続いた。
羊を数えるより数倍幸せな時間に。

 

ひょっとしたらこれは食いしん坊向けの
心地よい「睡眠導入本」であるかも知れぬ。