ドレスを着た男子:デイヴィッド・ウォリアムズ著のレビューです。
ある日女性ものの服を着てみたら・・・
男だからとか、女だからとか、そういった概念を覆してくれるような爽快なYA。
母親が家を出てしまい、父と兄と三人暮らしのデニス。
サッカ―が学校一上手い男の子。
そんな彼は、ある日、雑誌「ヴォーグ」で母親が着ていたのに似ているワンピースを見かけ、そこからファッションの世界に魅了せれてゆく。
ある日彼は学校のオシャレさん、リサと仲良くなり、彼女の家に遊びに行く。そこで見た雑誌や、リサの洋服の数々に胸をおどらせるデニス。
リサは彼にそれらの服を着てみないか?と提案する。
ここからの話はすごく楽しいです。
はじめて着る煌びやかな服。
はじめてするメイク。
最初は戸惑っていたデニスだが、やがて次々と着替えを楽しむ。
「不公平だよ」
「女の子ばっかり、いいものを独占するなんて!」
リサはデニスのよき理解者。
「デニス、きみはなりたい自分になれるのよ。きみがのぞむままにね! 」
そしてデニスはついに「女の子」として外の世界へ。
さぁ・・・みんなにバレずに過ごせるのかな?
キレイな服、フリルやレース、ピンクの服、ハイヒールや可愛いバッグ。
なんとなくこれらは女子が好きで身につけるものとされているけれど、そんな見えない線引きを、ものすごく窮屈だって感じている男子がひょっとしたら世の中たくさんいるんじゃないかと感じさせられる。
いつもじゃなくても一生に一度くらい化粧をして女になってみたいって思っている人はもっともっと居ると思われる。
もしデニスみたいに体験できる機会があり、それをきっかけにその後どうなるかはその人次第だけど、本書ではそんなささやかな願望をユーモラスに描き、遊び心をもって
読者を楽しませてくれる。
私的には高校の文化祭で「女装大会」をした思い出が顔を出す。リサとデニスが化粧をしているシーンで当時の風景が蘇りました。
不思議なもので最初は嫌がっていた男子も、化粧が終わるころにはすっかりなりきって
写真にポーズまで取っているではありませんか。みんなに「キレイ、キレイ」と言われるのって悪くないよね(笑)
果たしてドレスを着たがっていたのは、デニスだけでしょうか?
ふふふ、、あなたのすぐ近くに居る人も、もしかしたら!?
デニスのようなフラットな感覚を持つ素敵な男の子が、
いつかファッションの世界で活躍できるといいなぁ・・・。