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なでし子物語:伊吹有喜

 なでし子物語:伊吹有喜著のレビューです。

なでし子物語 (一般書)

なでし子物語 (一般書)

 

 ◆「ザナドゥ」って歌を知っていますか? 
   読み終えてからこの歌を聴くと何度も感動が!

 

小学4年生の耀子が大人の事情で、亡くなった父方の祖父に
引き取られることになるシーンから始まります。

 

祖父は遠藤家という地方の旧家から山林の管理を任され、
「常夏荘」で暮らしている。
常夏荘を取り仕切るのは未亡人の女主人・照子。

耀子は母親から「グズ」「馬鹿だ」と言われながら育ち、
躾がまったくされてなく、転校先でもいじめられてしまいます。
その後、学校で火傷を負わされ、笑いものになったショックから
登校拒否になってしまう。

同じく大人の事情で常夏荘に住んでいる立海
病弱で立海も家庭環境がよろしくない。

 

そんな少年と少女がこの「常夏荘」で出会い、一緒に勉強し、

遊ぶようになる。

この子供たちを見守りながら、亡き夫との思い出を

日々噛みしめながら静かに生活する照子。

物語は主にこの3人を軸に進む。

 

痛々しい少女の様子から、前半はなかなか読むペースが上がらず、
実はこの本を読み終わるまで3週間もかかってしまいました。
関係性が見え始め、立海と耀子が子供らしくなってくるあたりから
エンジンがようやくかかり始めた具合です。

 

◆ピュアで弾むような一瞬が蘇る

 

さて、なにをどう感動したのか言葉にするのは難しい話では

あるのだけど、なにか遠い昔の弾むような「はじめて」を思い出す、キラキラしたものが詰まっているお話だった。

 

それは「はじめてニックネームで呼ぶお友達」が出来たこととか、
女の子だったら「はじめてツルツル光るエナメル靴」を

履いたときや、おしゃれなスカートを着た自分の姿を

鏡の前で見て、思わず身体をゆすってしまったこととか。

すごく些細なことなんだけど、そんなピュアで弾むような

一瞬があったことを思い出させてくれる。

 

いじめだったり、大人の都合で子供が振り回されたり、
深刻な問題も描かれているのだけど、その反面、
この二人の何にも染まってない無垢さや、裏表ない
透明な言葉がとても際立っている。

 

やがてお友達も出来、少しずつふたりは子供らしさを取り戻す。
そんな中での会話風景がなんとも微笑ましかったりするのです。

痛いほどの切ない感じと、弾むような時間が交差しながら、
読み進めてゆくうちになにかとても離れがたい気持ちに

なって行きました。

 

そして本書から聞こえてきた、オリビア・ニュートン=ジョン

ザナドゥ」。読み終えてから久しぶりに聴いてみた。

や、やばい・・・前奏のキラキラしたリズムから、

耀子と立海の姿が蘇り、そしていつしか自分がこの歌を

聴いていた時代にトリップし胸がジーンとなる。

どうやら、耀子と立海という子供たちは、読者の過去をも

振り返えらせる魔法が使えるようだ。

それはまるで常夏荘の女主人・照子がふたりを通して
過去を思い出している時のように・・・。

 

この話の雰囲気に洋楽?・・・アンバランスな感じがしたのは

私だけだろうか?なぜこの歌なのか?と気になって再び

ザナドゥ」の歌詞を読んでみた。

そしたらやはり・・・・
この話を思い出させるような言葉がたくさん歌詞の中に

埋まっていました。
何が悲しいのか自分でもわからないけど自然に泣けちゃって。

この先「ザナドゥ」を聴くたびにこの小説を思い出すのだと思います。
そういう意味でもとても印象深い1冊になりました。

いやだなぁ・・・本書には何度も感動させられちゃったよ。

 

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