刺繍 イラン女性が語る恋愛と結婚 :マルジャン・サトラピ著のレビューです。
「陰口をたたく、それは心の換気よ」 さぁ、イラン人女性たちのガールズトークを覗いてみませんか?
ガールズトークってやつは、国境越えちゃう面白さがありますねぇ。私もすっかりこの女子会の一員になった気分で読み終えました。これから読む方は、お茶を用意して参加すると、より一層一体感が持てるはずです。
本書はパーティの片づけ後、9人の女性のたちが「茶飲み話」をはじめます。
結婚適齢期の女性から祖母の年代までと幅広く、一貫して女性たちが関心をもつ話題が繰り広げられます。(経済的階層は上流から中流の生活に困っていない階級層)
個性あるグラフィックがなんともこのストーリーにマッチしています。
イランの女性たちが持つ恋愛観・結婚観や男性の浮気問題など、とにかくズバズバと会話が展開され、全く飽きることなく続きます。
特に親の言いつけでの結婚や、処女性の重要視、ヨーロッパで暮らすイラン人男性との結婚や憧れ・そして失敗等々…、イランの女性たちの価値観・日常・風俗などが気づけば自然に頭の中に入っているという…優れ本。
とにかく、とにかく、方々から「本音トーク」や「下ネタ」が飛び込んでくるので、一度本を開いたら最後まで一気に読みたくなるはずです。
色々面白い箇所を引っぱり出してここに書きたいのですが、女性達の雰囲気と、テンポあっての会話の流れを崩したくないのと、ネタバレしたくないので控えます!
最後にこのタイトルの「刺繍」。
何故にこのタイトルか不思議に思っていたのですが、途中で意味を知り「これはまた!」と、軽いめまいが(笑)
個人的にはこの雰囲気と独特なグラフィック、どちらも好みで楽しい時間でした。男性より女性におすすめかな。男性が読むにはそれなりの覚悟がいるかも!?
※マルジャン・サトラピ ──イラン生まれでフランス在住の漫画家