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うずまきぐ~るぐる

本の紹介や日々のことをぐるぐるかきます

薄情:絲山秋子

本の紹介(女性作家あ行)

薄情:絲山秋子著のレビューです。

薄情

薄情

 

 

◆「薄情」とは誰のこと? もしや・・・

 

 

なんとなく読んでいたら、なんとなく終わっていた。

 

中身がないとか、つまらないとか言う意味ではなく、
きっと大きな変化や着地点が見出せる類の話では

ないのだろうなぁ~と冒頭から感じていたものだから、

登場する人々の事の成り行きを観察していたという読書でした。

 

舞台は群馬県・高崎。主人公は宇田川静生は叔父の神社の

手伝いをしながら、嬬恋でのキャベツ収穫という季節の

バイトで生計を立てている独身男性。


いずれは神主の後継ぎか?といった感じで、実家暮らしだし、

経済的にも切羽詰まったものはない。

 

人づきあいが非常に淡泊で、他人に深入りしない

青年ではあるが、それでも高校時代の後輩女子蜂須賀との

付かず離れずの関係や、東京からやって来た木工職人の

鹿谷さんとその知人たちとの集い、また、新しく出来た

彼女を通して、人との距離感、関係性を少しずつ
考え始めるようになる。

 

 

◆モヤモヤした消化しきない得体の知れないものの正体は?

 

 

地方都市の閉塞感を扱った小説にここのところ立て続けに

出合っているが、絲山さんの描くものも非常に情景が

よく浮かんでくるものがあった。

 

からっ風で有名な群馬の土地の雰囲気が文章の端々から

感じ取れる。寒く乾いた感じが、どこか人間模様にも

映し出されているようでもあり、一抹の寂しさを

感じさせられる。

 

土地に残る者、他からやって来た者、

去って行く者、戻って来る者。


地方都市ならではの人間関係は、入口と出口が常に

オープンであるにもかかわらず、ちょっと鬱陶しい人の

思いや、土地に根付いているものが纏わりついてくる。

人との関係が密なのか、希薄なのか。

わたしにはとてもグレーなものに感じた。

 

やがてあることが発覚し、大きな事件が起き、

話は山場を迎えるのだが・・・・。


なかなかコレという核になる部分が掴みにくかった。
読後も燻っているものがあり、いつまでも消えない焚火を

見ている気分に。

 

この燻っているモヤモヤした消化しきない得体の

知れないものは、主人公の姿そのもののように今は思える。

 

そして、読み始めの時に感じた着地点についても、
やはり見出せるほど易しい小説ではなかった。

 

たぶん、きっと、傍観者的に読んでいたという意味で、
私自身がこの小説の一番のヨソモノであり、一番の

薄情者なのかもしれない。

・・・とふと思い、ギクリとする。

 

 

 

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