うれないやきそばパン :富永まい 中尾昌稔著のレビューです。
ボンボンボンボンボンジュール。デニッシュのポールよりもやっぱりピョンタ!
焼き立てのつやのあるパンからのぼるかおりに誘われて
ついついあれこれ買ってしまうパン屋さん。
新製品が次々生まれる場所でもあり、
パンたちの生存競争も激しそうです。
おさないで!
あんたのアンコガおもいんだよ!きゃあっ、なにかついているわ!
ソレ、わたしのカレーね。アンコ、もれちゃった…
なんの会話だと思いますか?
売れ残ったパンたちが捨てられて、ゴミばこのなかで
騒いでいるのです。
ここはおじいさいがやっている
ふるいふるいパン屋・カナリヤパン。
しょくパン、クリームパン、アンパン、カレーパン。
そして、やきそばパンはひとつも売れません。
売れ残りパンを捨てるのはもう嫌だと思った
おじいさんは、新しいパンを作ります。
♪ボンボンボンボンボンジュール。
デニッシュのポールだ。
もちろん彼は大人気。
そんなポールをすみっこで見ていたやきそばパン・ピョンタ。
おじいさんのことを思い、荷物をまとめるのだが…。
いやだ…。
ピョンタ、行っちゃやだ!君が居るだけでわたしは……
と、やきそばパンにすがりつきたくなる自分。
だって、荷物をまとめるピョンタの姿があまりにも
切ないんですもの。
それにひきかえポールったら、うしろの方で舌出して手振ってるし!
そんピョンタのもとに、救世主が!?
まさにジャカジャーンと効果音が聞えそうなほど頼もしく登場!
泣かせるではないか!
新しく出るパンも美味しいけど、昔ながらのパンも
置いているパン屋さんは何故かホッとする。
そんな思いを一度でもしたことがある方、
是非読んでみてください。
新しいパンたちで賑わっている棚の片隅で、
ちょっとだけ肩身の狭そうな顔をして、
あなたのお腹を満たしたいと思っているあの子が
きっと待っているはず。