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あの道この道:吉屋信子

 あの道この道:吉屋信子著のレビューです。

あの道この道 (文春文庫)

あの道この道 (文春文庫)

 

 

 

 ◆富豪の娘が漁師の娘とすり替えられた! 

 

 

こうあって欲しいという登場人物達の個々の性格が、

面白いくらい反映されているような気がして、

読んでいて「そうそう、いいね、いいね」と前のめりでした。

 

素直な少女を応援する一方、憎らしい少女の意地悪ぶりに

「ひひひっ」と、その様子をどこかで愉しんでいる自分も

居たりして、個々の感情に憑依しながら読み進めておりました。

 

大丸家というお金持ちの別荘で、女児が誕生するところから

話が始まります。

しかし、この子を生んですぐに母親は衰弱して急逝し、

赤子はこの村で同じ日に生まれたという漁師の家に

しばらくの間預けられます。

 

預けられた家の不注意によりこの子は火傷を負ってしまい、

慌てたその家の父親はマズイと思い、無傷の自分の娘と

取り替えて、金持ちの家へ戻したのです。

 

 

◆わかりやすい展開に思わずニンマリ

 

 

ふっふ、もうこの設定自体が昔っぽいし、これからこの2人の

娘の生活も薄っすら想像がつきます。そして、予想は…

裏切られません!

 

2人は成長し、やがて対面します。我儘放題に育ち高慢な千鶴子。
母や弟を支え、素直で心優しく可憐なしのぶ。

千鶴子の傲慢な態度や嫉妬からくる嫌がらせを受けても、

素直なしのぶは優等生的な対応を繰り返します。

 

この対照的な二人の様子がまさに昔あったドラマのようで!
ピアノを弾かせないように、ピアノに鍵かけちゃうなんて

細々した意地悪さが絶妙です。やはり、悪役は徹して

いただくほど盛り上がりますね。

 

さて、こんな二人は最終的に自分の出生の謎が

明かされるのでしょうか?

 

本書はこの二人を中心に、弟、母親、継母、富豪の父など

各人の役どころが明確に表現され、みな人を思いやる心が

ある良い人々ばかりです。

 

そして、亡き父の意志を継ごうと懸命に温泉を

堀りあてようとする新太郎という青年と、

村の和尚さんが登場し、ある意味この2つの家族の

架け橋的存在として活躍してくれます。

 

全体を通して話はとっても単純です。

しかし、やはりこの思ったように展開するストーリーと

個々のキャラを愉しめる点から目が離せない内容でした。

 

また、昔風な美しい日本語を使った会話は、今にない

優雅さが漂い素敵です。

 

裏読みばかりを強いられる本とか、なんかすっきりしない

本での読み疲れが多い方。
そんな時にこの「明朗会計的小説」を、おすすめいたします。

 

ちなみにこの話は「乳姉妹」(ちきょうだい)という

ドラマがあったそうです。
TBS系列で1985年に放送。伊藤かずえさんが意地悪役

だったんですね。

 

 

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