読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

うずまきぐ~るぐる

本の紹介や日々のことをぐるぐるかきます

帰命寺横丁の夏:柏葉幸子

本の紹介(児童文学)

 帰命寺横丁の夏:柏葉幸子著のレビューです。

帰命寺横丁の夏

帰命寺横丁の夏

 

 

◆祈ると生き返ることができる「帰命寺様」

 

 

小学校5年性のカズは、ある日突然自分の家から外へ出ていく
白い着物の女の子を目撃します。

 

翌日学校へ行くと、その少女にそっくりの子が居る。
カズにとってその子は今まで見かけなかった子なのだが、
同級生たちは「昔からいるクラスメイトじゃなか」と言う。

 

自分だけが何故この少女の存在に気付かなかったのか?
しかも、昨晩うちで見た幽霊?にそっくり。この少女は一体…。

自分の住んでいるあたりは、かつて「帰命寺横町」であった

ことを知るカズ。


夏休みの「自由研究」という名目で、あれこれ調べ始めると、
次々色々なことが判って来る。そして、少女のことも

分かりはじめると、今度はこの少女を守ろうという

気持ちになり頑張りをみせます。

 

 

◆「物語」の中に入っている「物語」が、さらに楽しかった!

 

 

本書はこの謎の少女、そして土地にまつわる話、少年・少女の

夏休みの様子だけではなく、「デイジー」という雑誌の連載小説

「月は左にある」という物語が登場します。

 

本を見ると分かるのですが、この「物語」の部分はグレーの

ページになっていて、全体の3分の1がこの話で構成されて

いるのですが、この物語が本当に面白く、本筋の話を思わず

忘れてしまうほど。

けど、この物語もちゃんと本筋と繋がっているのです。

 

夏休みは短い。カズにとって一日一日が大切であり、
そして、なによりも守らなければならない存在が居る。

 

まっすぐにひたむきに突き進むカズ。
冒頭部の「幽霊が怖い」と言っていた姿はそこにはなく、

とても頼もしく成長している姿がなんだかまぶしいくらい。

 

さて…別れの時は夏の終わりとともに訪れる。
登場人物も読者も次のステージに進めるような余韻がある
終わり方で非常に清々しいです。

 

文句なく素晴らしい作品でした。
特に途中で入った「月は左にある」は、カズや少女が

夢中になったように私も時間を忘れて読んでしまったほど

雰囲気ある物語。

 

和の雰囲気、洋の雰囲気、1冊のなかにふたつが存在し、

別次元の世界を味わえる独特な構成が新鮮で充実感が

ありました。

 

ということで、柏葉さんの作品良いですね。

物語の醍醐味を思い存分教えてくれる作家さんだと思います。