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うずまきぐ~るぐる

本の紹介や日々のことをぐるぐるかきます

蜜のあわれ:室生犀星

 蜜のあわれ:室生犀星著のレビューです。

蜜のあわれ

蜜のあわれ

 

 

◆老作家の「おじさま」と「あたい」の甘くて妖艶な世界へ

 

 

まずは印象的だった言葉の数々を拾ってみた。

 

「くちべには女の灯台みたいに、あかあかと点っているものよ、消えたら、心までしょんぼりしてくるわ」

 

「あたいのは冷たいけれど、のめっとしていいでしょう、
 何の匂いがするか知っていらっしゃる。空と水の匂いよ、 

おじさま、もう一遍して。」

 

次に、女と男の会話を取り上げてみます。

 

「とうとう今年はあたい、子供を生もうと願いながら、産む間がなかった。
ね、何とかしておじさまの子を生んでみたいわね、
あたいなら生んだっていいでしょう。
ただ、どうしたら生めるか、教えていただかなくちゃ、
ぼんやりしていては生めないわ。」

 

「はは、きみは大変なことを考えだしたね。そんな小さいからだをしていて、
 僕の子が生めるものかどうか、考えて見てご覧。」

 

「おじさま。」
 「何だ、お腹なんか撫でて。」
「あのね、どうやら、赤ん坊が出来たらしいわよ、お腹の中は卵でいっぱいだわ、これみな、おじさまの子どもなのね。」

 

お気づきでしょうか?
どうやら女性は卵を宿したようです。

 

実はこの話、老作家と、赤くて若い金魚の女が繰り広げる
ちょっと不思議で濃密な恋愛関係を描いたものなんです。

この金魚の女の艶めかしと言ったら。


自分のことを「あたい」と呼ぶ彼女は、ちょっと蓮っ葉な

感じが小悪魔的でもあり、女の私でも読むうちにどんどん

魅了されてしまう。

 

上手く表現できないのですが、官能小説でもないのに、
ものすごく美しいエロスを感じてしまうものがあります。

 

ほとんどが男と女の会話で成り立っている小説なのですが、
その会話がなんとも妖艶でドキドキさせられる。
(ほんの少し変態ちっくな場面もないではないが、

谷崎に比べればなんてことなし)

 

また、この老作家の昔の女たちの幽霊までもが登場し、
ますます幻想的な雰囲気を醸し出す。

 

 

◆今までの室生犀星のイメージがガラリと変わる

 

 

本書、金魚や花のパーツ写真が載っていて、
これがまた文章と相まって妄想が広がるというか。
なんだかもう普通に金魚が見られなくなりそうなほど。

 

とにかく気に入っちゃいました!大ヒットです!

女子力ある金魚から、「かわいい女とは?」等々、
“あたい”も学んだような気がしています(笑)

 

いやぁ・・・犀星さんのイメージがガラッと変わりました。
狂犬病を怖がっているちょっと神経質で短気な人って

印象があったのですが、まぁ、なんとなんと、こんな

世界を描く方だったのですね。
一気にファンになってしまいました!

 

余談ですが谷崎は猫に翻弄された猫フェチ、

犀星はひょっとして金魚フェチ?
作家というのは身の回りにいる動物に翻弄されたがって

いるんだろうか。

 

 

 

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────おじさまとの恋愛本────

 

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