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シンデレラの告白:櫻部由美子

シンデレラの告白:櫻部由美子著のレビューです。

シンデレラの告白

シンデレラの告白

 

 

◆ずっと読んでいたくなる童話の雰囲気を持つミステリー!

 

 

はじめて読む作家さんだし、「ハズレ」でも

仕方がないかな・・・なんてちょっと失礼な気持ちで

読み始めたのですが、「ワタクシとんでもない愚か者でした。」

と、丁寧にお詫びしたくなるほど、予想は大きく裏切られた。

 

冒頭から日本人作家の小説という雰囲気がなく、

まるで西洋文学を読んでいる感覚がしたものだから、

何度か作家名を確認しちゃいました(笑)

 

童話、ミステリー、サスペンスと、いろんな要素が

ふんだんに盛り込まれていて、一度本を開いてしまうと

一気に時間が過ぎているといった感じで楽しめます。

 

15世紀末、各地では魔女裁判が行われていた中世ヨーロッパ。
美しい未亡人である母と、父親似で「ハイデンの鬼姉妹」と
呼ばれてしまうほどの器量の悪い姉妹は、母親の再婚を機に
大都市・ルテシアで暮らすことになる。

 

夫になる男性は謎めいた絹織物商で、12歳になる病弱の娘が

一人いる。娘の病状は深刻で、残り少ない命だという。

 

姉はドレスの仕立て人、妹は食糧調達人として日々忙しく

動き回り、母親は献身的に病気の娘の世話をする。

 

本家「シンデレラ」と似たような家族構成では

ありますが、この一家には「陰湿」なムードは皆無なんです。

 

読者的には「あれ?なにか起こらないのか?」と、
ついつい先回りしそうになるのだが、この家族の「外」が
なにやら騒がしい・・・。

 

社交界ではシンデレラを名乗る美女が居るという

噂があり・・・・。
やがて貴族の不審死が重なることによって、一気に

謎めいた世界へと話は広がってゆく。

一体、なにが起きているのか?

 

 

◆シンデレラを意識した言葉は出てくるが内容はオリジナル

 

 

かぼちゃの馬車、仮面舞踏会、ガラスの靴等々、
シンデレラを彷彿させられる言葉があちこちに登場するが、
物語自体はまったくのオリジナル。


構想がよく練られ、変化に富んだ奥深い内容だと思います。

また、何といっても二人の姉妹のキャラクターがとても

魅力的に描かれていて、重苦しい場面もカラッとした

空気を運んでくれている。

 

ミステリーはちょっと苦手なんだけれど、こういう作品なら

ずっと読んでいられそう!かなり好みの物語でした。

 

童話、中世ヨーロッパ、社交界、貴族、舞踏会、

病弱の少女、結ばれぬ運命など、ピンと来るものがあれば

強くお薦めいたします!!

 

本書は「第7回角川春樹小説賞受賞作」とのこと。 
この賞のことはよく知りませんでしたが、ってことは、

これデビュー作なんですよね?いやぁ・・・ホント驚きです。

 

次も迷わず読みたい!と思わされる作家がまた一人。
「豊作、豊作!」と、ひと仕事終えたような満足感が

今ここに。