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『痴人の愛』を歩く: 樫原辰郎

 『痴人の愛』を歩く: 樫原辰郎著のレビューです。

『痴人の愛』を歩く

『痴人の愛』を歩く

 

 

◆あっちこっち話は脱線するけれど、作者の谷崎文学への想いがめちゃめちゃ熱い!

 

痴人の愛」━このタイトルを目にするたびに、この小説を読み終えた時の

何とも言えない自分のテンションの高さを思い出す。

 

谷崎文学にハマる起爆剤になったとも言える「痴人の愛」は

大好きな作品のひとつ。そんな作品の関連本と来れば絶対読まなくちゃ!と、

発売前からギラついた気持ちで待ち構えていました。

 

感想を簡潔に言うとしたら、かなりマニアック!
ものすごく作品を掘り下げてゆくので、「散歩感覚」で作品の足あとを

辿る的な読み物を想像していた私が気楽に読めたのは前半だけで、

あとは深い深い世界にいざなわれ、抜け出せないとこまで連れて行かれた。

 

浅草からはじまる話は、当時の地図を丁寧に辿るように歩いている感覚で
もうそれだけでもかなり楽しいわけだが、そこにナオミと譲治のエピソードや
引用文からの分析がたっぷり語られて来るので1~3章あたりは、もう頭を
本の中に突っ込んでしまいたくなるほど楽しめました。

 

特に「痴人の愛」のナオミと、樋口一葉の「たけくらべ」の美登利に関する
考察は思わぬ共通点なんかもあり、なかなか興味深いものがあった。

 

谷崎が一葉や尾崎紅葉らを尊敬していたらしいなどの小話も
ちょいちょい出てくるわで、真相はともかく一つの作品が多面的に
眺められるようになってくる。

 

筆者はこうして町を歩きながら目にするものを次々と繋げては

話を広げてゆく。

 

先の一葉の話も著者は「樋口一葉記念館」の看板を歩いている途中で目にし、
痴人の愛」について調べているつもりだったが、一葉についても
読み返す必要があると感じ電子書籍で再読し、二つの作品から
見えたことを語っているという感じだ。

 

とにかく話がどこまでも広がってゆくので、後半はついてゆくのが
結構ハードでした。特に谷崎と映画に関する部分は著者の得意分野
ということもあり熱量が高く、非常に細かく分析されていているので、
読む人が読めば相当面白い内容であるはずだ。

 

タイトルにある「歩く」というより、脱線につぐ脱線を経て

エピローグに向かう。やぁー、横浜で遠かった(笑)

 

痴人の愛」に魅了され続け、その想いをうんと溜め込んで、
一気に本書で吐き出したのだな・・・という空気がものすごく

感じられる一冊でありました。

 

もう最終的には「痴人の愛」が面白いのか、谷崎自体が面白いのか、
脳内が麻痺した感じではあったけど、この混沌とした感じがまさに
痴人の愛」であり「谷崎潤一郎」であるんだな・・・と、
無理にまとめてみました。

 

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