月夜のバス:杉みき子著のレビューです。
自分の過去と重ね合わせながら見る幻想的な世界
月夜の海沿いの国道
光るテイルランプの筋
エンジンの音にまぎれて聴こえて来るかすかな波の音
風がそよぐと漂う潮の匂い
夜がはじまったばかりの道
少し心細さを感じながら
私はこの少年とわずかな時間をともに歩きました。
自分の中にある海沿いの道を思い浮かべながら。
これだけでも、なんだか充分色々なことが思い出され
とても満たされた気持ちになれたのだけど、
横断歩道の信号待ちで、私たちはとても不思議な体験をします。
月光のさしこんだ大型バス…そして…
とても美しい光景が目の前に広がります。
自分だけの心の中の「海沿いの風景」。
少しだけ早歩きしながら家路を急いだあの頃。
自分の過去と重ね合わせながら見る幻想的な世界。
夢と現実の狭間にいるような、幻想的で美しい話。
さぁ、あなたも自分の心の中にある「海沿いの道」の風景を持って
この少年と月夜の道を歩いてみませんか?