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甘いお菓子は食べません:田中兆子

 甘いお菓子は食べません:田中兆子著のレビューです。

甘いお菓子は食べません

甘いお菓子は食べません

 

 

 

◆30~40代の女性たち、その悩みは多岐に渡る

 

 

おもしろいタイトルだったので、コメディタッチの小説なんだろうなぁ

と思っていたら、女性達の切実な悩みが次々と投入され、

結構な追い詰められ感を味あわせてもらいました。

 

どの話も「ギリギリなところ」を彷徨い、出口を模索する女性達。

 

そのサンプルを次々と見ているような内容からは、

心に突き刺さってくるシーンもあれば、

「そこまで思いつめるものだろうか?」と自問自答させられるような話まで、

30~40代の女性達の悩みは多岐に渡る。

 

気軽に読めたのは、

「結婚について私たちが語ること、語らないこと」。

 

キャディーをしている結婚適齢期をとうに過ぎた独身女性たちの話。

3人の女性の女子会トークがリアルで楽しいのはもちろん、

私的にはキャディーさんの世界が少し覗けて面白かった。

女の職場というだけあって、こまごまとした上下関係も大変そうだ。

 

また、同じ独身同士でも神経を使う結婚の話題。

各々の微妙なさじ加減が妙にリアル。

 

そうかと言えば、何気ない会話の中の赤裸々感も。

このメリハリある感じが現場で聞いているような臨場感があり

堪りません。

 

「熊沢亜理紗、公園でへらべったくなってみました」。

これは、タイトルからして興味をそそられます。

50歳で職を失った女性が、公園で「へらべったくなる」という

結構ヘビーな話なのです。そこへ来て「へらべったくなる」とは??

親もなく、配偶者もなく、リストラされた女性の行方はどこへ向かうのか・・・。

 

逆に重たいテーマのものも。

 

突然に夫から「もうセックスをしたくない」と言われ、

途方に暮れた主婦の話や、重度のアルコール依存症の女性の話など、

R-18文学賞大賞受賞作というだけあって「生と性」が蠢き合う。

 

6編全て読み応えがありました。

どの話も甘くない。

 

こうして見ていると立場は違えど、この年代の女性達って

本当に複雑な感情の中で生きているものだなぁと感じる。

1編読むごとに、喉がカラカラになってしまうような気分でした。

 

ここを乗り越えると一皮むけて、自分と向き合うことも楽になるのかも?

と、60-70代をエンジョイしているご婦人たちを見て思うのであった。

 

余談ですが、表紙がひそかに怖いのです。