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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー・感想・あらすじ】食べる私:平松洋子

 

 

 食べる私:平松洋子著のレビューです。

食べる私

食べる私

 

 

感想・あらすじ 食べものについて語れば、人間の核心が見えてくる

 

最近平松さんの本を見ると条件反射的に「旨いものが読める」という気持ちが漲ってくる。そんな食いしん坊たちの目を惹くタイトル「食べる私」。

 

今回も美味しいものをたっぷり・・・と思ったのだが、本書は通常の涎が垂れてしまうような話ではなく、個々の食べ物に関するルーツや食に対する意識等を平松さんが各方面で活躍されている方々と対談しまとめている。通常のお腹がグルグル鳴るというよりは、今回はもっと個人的な食の話といったところです。

 

対談された顔ぶれがとても個性的。よくテレビでお見かけする方から、普段あまりお話を聞く機会があまりない方々まで、職業も年齢も実に様々な人々が集まっている。

 

例えば、

デーブ・スペクター氏ってあんまり生活感がないけれどもどんなものを食べているんだろう?

ギャル曽根ちゃんって大食いだけど、普段の食生活はどうなっているのだろう?

冒険家の人たちの食事って何を食べているの?

料理人は何を食べて味覚を育てて来たのだろうか?

 

まずは登場する人々のプロフィールを読んでからはじまる対談は、はやくも様々な質問が予想される。

 

 

 

 

なかでも一番私が身を乗り出した人物は畑正憲さん。動物のことを知り抜いている畑さん。動物を食べるときにどんなことを考えるのだろう?や、もしかしベジタリアンか?と、ちょっとドキドキしながら読み進めると・・・。

 

うはは、バリバリ肉食でした!(笑)しかも、ちまちました料理じゃなくて「羊の肉なら羊の肉を食べ尽したい。」とのことで、たら腹食べることが大事だという。

 

地球上あらゆる土地に出向いている中で、受け入れられない食べ物があったかという問いに「ないです。なんでも食えるんです」ときっぱり。「病気になってもいいや」という潔さというか開き直りが逆に、畑さんの強靭な体を作る源になっているんじゃないかと思わされる。

 

平松さんもおっしゃっていますが「個性的」というより「常軌を逸した」という言葉が浮かぶエピソードばかりが畑さんの口から飛び出して来ます。

 

平松さんの対談は決して多くの質問をしているわけではないのですが、相手にピタッとはまるような質問内容を投げ、上手に話を引き出しているなぁーと感じるシーンが多い。会話センス、バランス感覚が素晴らしい。加えて鋭い観察眼によって相手の様子がきっちり語られ対談内容にさらなる深みを与えてくる。

 

全体的な印象はやはり「食」というものは子供時代に食べたものの影響や母親の料理に繋がってゆくものが多い。たとえその母親が今居なくとも、食を通じて繋がっているのだなーと言うことが伝わってくる。

 

どんな食環境で生きて来たのか?

それが現在の仕事や食生活にどんな影響を与えているのか?

食そのものから個々の人生を覗いているような面白さが本書にはありました。

 

━━食べものについて語れば、人間の核心が見えてくる。

 

自分の食べて来た食の履歴を振り返ってみたいような、そうでないような・・・。

 

※『オール読物』に連載した「この人の今の味」を単行本化。

 

以下、対談された方

デーブ・スペクター 林家正蔵 ハルノ宵子 黒田征太郎 ヤン・ヨンヒ 伊藤比呂美 ギャル曽根 美木良介 土井善晴 辻芳樹 松井今朝子 安藤優子 ジェーン・スー 渡部建 光浦靖子 堀江貴文 大宮エリー 高橋尚子 吉田秀彦 髙橋大輔 田部井淳子 山崎直子 畑正憲 小泉武夫 服部文祥 宇能鴻一郎 篠田桃紅 金子兜太 樹木希林

 

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