ウォーターシップ・ダウンのウサギたち〈上〉:リチャード アダムズ著のレビューです。
感想・あらすじ 楽しい―! 気分はすっかりうさぎ目線!
次々登場する個性豊かなうさぎたちに戸惑い、どことなく自分の立ち位置がなかなか定まらないような落ち着かない状況がはじめはあったのですが、途中から「これは、これは、なんて面白いんだろう」と、一気に物語の世界に入り込めました。
うさぎと言えば、姿はもちろん動作も可愛く、昔から好きな動物のひとつでしたが、習性などを知らずに来たので、新鮮な発見がありグイグイ引き込まれました。
立ち座りして鼻をクンクンさせているのはこういう時なのか・・・とか、
野うさぎと人間に飼われているうさぎってこうも感覚的に違うのか・・・。
・・・なんて学習しながら、次第に自分も「うさぎ目線」になってゆく。
不思議なもので「うさぎ目線」になった私は、人間がいつの間にかコワイ存在に変化しているし、美味しい草を食べているうさぎたちから草の匂いを感じたりで、うさぎたちと妙な一体感がありました。
さて物語は、予知能力のあるファイバーといううさぎが、「すごく恐ろしいことが近づいてくる。」と言ったことから、11匹のうさぎたちが、平和な場所を求めて動き出します。
いくつかの場所を訪れるうさぎの御一行さま。そこで経験する数々の出来事を中心に、ハラハラさせられたり、他の動物との心温まる交流があったり、話上手のうさぎがみんなに聞かせる「神話」がこれまた面白かったりで、見どころがたくさんあるのです。
長うさぎが日に日にリーダーシップを発揮し、仲間の信用を得ていくのもなかなか頼もしいですし、個々の能力や性格を活かして共同生活を営む様子も人間社会にどこか通じる部分があり、興味深いものがあります。
「うさぎ語」を含め登場するうさぎたちの性格や役割が解ってくるごとに、この物語の素晴らしさがジワジワと実感できました。
ということで上巻は読み終わってしまいましたが、まだまだうさぎたちの冒険は続きます。ラストがどんな風になるのか、全く想像がつかないのだけど、なんだかメチャクチャ下巻が楽しみになっています。
児童書ということですが、もし子供の時読んでいたら果たして理解できたかなー。うさぎに対してもっとシビアな見方をする子供時代になっていたかも?と、この本との出合いがもっと早ければ…的なことも考えてしまいました。
文庫本
アニメ
英語版
英語版ペーパーバックは何種類かあるみたいで、見ているだけで楽しいですよ。
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