さかさ町: F.エマーソン・アンドリュース著のレビューです。
感想・あらすじ もしあらゆることが「さかさまな状態」である社会だったら?
ちびっこ向けの本だし、きっと看板の字がさかさまに書かれていたり、靴とか洋服とか、日常のちょっとしたことがおかしなことになっている人々が住む町なんだろうな~と、なめていましたが・・・。
リッキーとアンは汽車に乗っておじいちゃんの家へ向かっています。
しかし、途中でトラブルが起き、汽車は前進することができずバックします。
そして到着したのが「さかさ町駅」。
ここで全員降りなければなりません。
ほーらね。
駅の看板文字もやっぱりさかさに書かれている。
・・・と、予想通りの展開にニヤリとしてしまったのはこの時だけ。
気づけば予想外のことばっかりでちょっとした敗北感が。
家がさかさまに建っているなんて序の口で、二人が今晩泊まることになったホテルに入れば、受付には大人ではなく男の子が働いている。
わわ、そう来たか!
この町では子供が働き、お年寄りは遊んでもいいことになっているという。その証拠にこのホテルに40年働いたというおじいさんは、ベビーサークルの中で楽しそうに本を
読んでいるではありませんか!
ホテルだけじゃなく、病院や学校にいたるまで、様々なユニークな光景を私たちは目にします。
「なるほどな~」と、大人は考えさせられる部分も多いだろう。しかし、細かいことを考えずにただただ発想のユニークさを思い切り楽しんでしまいたい作品でもある。
常識と思われていることを疑ってみる。(さかさまに考えてみる)ものごとには、さまざまな見方がある。それまで見えなかったことが見えたりすることがある。
<訳者さんの「あとがき」より>
本書はふたりの兄妹の目を通して、当たり前だと思っていたことが反転するような世界を体験することができます。
短い旅の話だったけれども、ものすごく濃厚な1日を過ごした気分にて読了。
さかさ町は思った以上に刺激的な町でした!
F.エマーソン・アンドリュースについて
1902‐1978。アメリカ、ペンシルバニア州ランカスター生まれ。アメリカにおける財団や慈善事業の調査・研究で知られ、ラッセル・セージ財団、ニューヨークの財団センターなどに長年たずさわった。専門書のほかに、子ども向けの本も書いた。
課題図書
この本は2016年の「青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書だったんだよ。