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【レビュー・あらすじ・感想】晴天の迷いクジラ:窪美澄

 

 

晴天の迷いクジラ:窪美澄著のレビューです。

晴天の迷いクジラ

晴天の迷いクジラ

 

 

感想・あらすじ

迷いクジラに出会ったら…生きるヒントがここにはあります

 

クジラのイメージって大きくて、堂々としていて、大海原の生活を思い切り楽しんでいる動物といった感じですよね。

 

でも、そんな海を知り尽くしたクジラだって、不本意にも湾に迷い込んで抜けられなくなってしまうことがある。

 

もう自分の力では、抜けられないような八方ふさがりのクジラ。この姿はそのままここに出てくる人間たちの姿と重ね合わせたかのように巧く話が結びついている。

 

ワーカーホリックからの鬱病、育児ノイローゼからのネグレクト、過干渉や不潔強迫症、リストカット等々…現代社会の問題点を、主人公たちを通して色々考えさせられる構成。

 

人の精神状態が崩れて行く過程には、それぞれ小さな問題が積み重なっていてそれがもう自分では抱えきれなくなり感情すらもどこかへ消えてしまう。

 

 

 

 

人間の基本感情「喜怒哀楽」
なんで、これらの感情が人間にはあるのか深く考えさせられた。

 

そして、最後は自分の足で立ち上がる力が人間にはあるということを。
助けになってくれる人が必ずどこかに居ることを。


誰の心の中にも「迷いクジラ」がやってくる可能性はある。
そんな時のためのヒントがここにはあるような気がします。

 

いやいや、良い小説でした。
良い小説の書評って、めっきり無口になってしまう私。
気持ちがいっぱいで何をどう書いたらいいのかってなってしまうんですよね。


最初は絶望感、孤独感に浸らされ、気持ちがどんよりしてたけど徐々に元気になれる内容でした。

文庫本