おとこのるつぼ:群ようこ著のレビューです。
群さんは男性に対してなかなか手厳しい。
「まったく男って・・・」っていう怒りや呆れの雰囲気がいっぱいのエッセイなのですが、身近によくある光景なので、どの話も「そうそう」と感じるところも多い。
群さんはどうしてここまで手厳しく、冷めた目で見ているのだろう…。
自由業で入って来たお金はまず自分の好きなものを買って、
残金が生活費になっていたという群さんのお父様。
自分の欲しい服を買うために、子供たちの貯金まで手をつけたそう。
どうやらこのお父さんが、その後の群さんの手厳しさに繋がっているようだ。
そんな父親に不信感を抱いていた群さんの密かな逆襲とは・・・。
「町内で霊柩車をみるたびに、親指をぐいっと突き出して父親の殺害を
企てていたけど、お父さんは死ぬどころかぴんぴんしていた。」
こういうドロッとした肉親への感情をぶちまけるあたり
相変わらず少々怖くもあるのだけど、群さんならではのダーク感に
クスリと笑ってしまう。だって、親指ぐいっと突き出すってアナタ・・・(笑)
と、群さん自身の周りの男性やお友達のエピソードを紹介し考察している。
私の一押しは「ハト男」。
この話は強烈すぎて、そのあとのエッセイはすべて霞んでしまった。
というか、もうハトを見ると、想像しちゃうじゃないか!
スポーツに勤しむ青年とハトのコラボが絶妙すぎて
運動男子とハトは切っても切れない「セット」となって
頭の中に残ってしまった。群さんヒドイ!
(鋭い方は、すでにうっすら想像ができた?と思いますが。)
36ページあたりから、気をつけてください。
2-3度読んだけど、毎回懲りもせず笑っちゃいました。
いつもよれよれの服を着ている人、むやみにプライドが高い人、
挨拶みたいに口説く人、怒鳴る人、等々、どこかで見かけた光景が
きっとあるはずです。かなーり、サクッと読める1冊です!
そうそう、『おんなのるつぼ』もあるそうです。
こちらはどうなんでしょう。同性目線でさらに手厳しいものになっているのか?
気になるところです。