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まく子:西加奈子

まく子:西加奈子著のレビューです。

まく子 (福音館の単行本)

まく子 (福音館の単行本)

 

 

◆思春期特有のモヤっとしたものをひとつひとつ束ねてゆく。

    それはおとなになるためにぼくらがするはじめての大仕事なのだ。

 

 

絵本だと思っていた。このサイトで小説であることを知り
急いで予約したけど時すでに遅し。ものすごく待ちました(笑)

 

とにもかくにも、「サラバ!」以降の西さんの小説ということで、
嬉しさが何度もこみ上げて来る。

 

舞台は温泉街。
主人公のぼく・慧は小学校5年生だ。

 

5年生と言えば、そろそろ心も身体も変化をもたらす時期。
女子だけが体育館に集められ、大人の準備の話を聞くという
なにかとザワつく年齢だ。

 

女子が隠れて小さいポーチを持ってトイレに向かったり、
ブラジャーをつけはじめたり・・・。


急激に大人の階段を上り始める女子に対し、
男子はもう少し子供の時間を彷徨っている。

 

今回西さんは、そんな思春期すこし手前の男子生徒の
目線に立って物語を丁寧に描く。

 

大人になることへの恐れ、抗い、もどかしさ、もやもやした感情。

 

私たちがもう戻ることのないあの時の忘れかけた感情を
どうしてどうしてこうも明確に表現出来てしまうのだろう・・・と、
毎度のことながら西さんの放つ言葉のひとつひとつに
目が張り付いてしまう。

 

都会とはひと味違った土地を舞台にお祭りなどの行事を取り入れ、
個性的なキャラの大人たち、加えて誰しもが注目することになる
転校生のコズエを中心とした話は後半ちょっとファンタジックで
面白いことになる。

 

コズエの正体については伏せておくが、
このあたりのまさかの設定は西さんならではのユニークさがある。

 

変化すること、大人になることを楽しんでいるコズエに対し
身体がどんどん成長してゆくことが怖い慧。

 

人は死ぬために成長している。
少年の葛藤はもがきながらもやがてトンネルを抜けて、
次のステージへと向かってゆくことだろう。

 

生きてゆくこと、信じること、傷つくこと、見えない存在等々、
今回はよしもとばななさんの作品を読んだ時の
大きな毛布に包まれるような読後感に似たものを感じた。

 

それにしても、西さんは昔「少年」だったのだろうか?
と思ってしまうほど、まるごとの少年を見事に描いている。

「せいつう」のシーンも避けずに真っ向から描く西さんの
逞しさにはアッパレ!です。

 

最後に、
読み終わったあとライトを消したまっ暗な部屋で・・・。
なっ、なんと、本が光っていたよ!

まく子があなたの本にも撒いて行ったと思われる粒粒。
お見逃しなく!

 

 矢印の部分が暗いと光る。

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