うずまきぐ~るぐる

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泉鏡花の「婦系図」:ビギナーズ・クラシックス

 泉鏡花の「婦系図」:ビギナーズ・クラシックスのレビューです。

 

 

◆クライマックスの壮絶さにしばし呆然

 

 

金色夜叉」同様、「婦系図」も途中まで読んで投げ出し

本棚に眠らせていた作品。どちらも大学時代に購入し、

堪え性がなかったため、面白くなる前に「読みにくい」と
投げ出したのでしょう。

再度の挫折回避するため「婦系図」もこのシリーズでまずは
大筋を掴んでみようという試みです。

 

山田有策さんの解説は「金色夜叉」でもお世話になり、

非常にテンポよく読める
ありがたいもので、今回もその感じは全く一緒で、すぐに夢中になりました。
やはり、解説やコラムが大きな道しるべになり参考になります。

 

この2作品、同じ匂いがする文学という印象のみが残っていたのですが、
今回、リベンジしてみて、作者の二人はやはり繋がりがあった

ということを知り、奇妙な感動が…。

(多分、本当は高校の文学史で習ったはずだけど…(汗))

 

そして、この作品もまた明治40年に「やまと新聞」の新聞小説

であったそうで、いろいろ重なる部分があります。

 

さて、内容は…

孤児だった早瀬主税は、ドイツ文学者酒井俊蔵に拾われます。

しかし、この恩師に内緒で芸者のお蔦と世帯を持つのですが、

酒井に「俺を捨てるか、婦を捨てるか」と迫られお蔦と別れることになる。

 

切れるの別れるのッて、そんな事は、芸者の時に云ふものよ。


湯島天神での別れのシーンでお蔦が言った名句です。

後編は、酒井の娘・妙子が主税の友人河野との縁談が進行中。
この河野家がひとくせある一族。
妙子の出生の秘密を知った河野家は、なにかと因縁をつけてきます。
そんなことから、主税は妙子を守るため「復讐の鬼」と化します。


舞台は静岡に移るのですが、河野家の女性達を巻き込み、

壮絶なクライマックスへ。
いやぁー、この最後のシーンは想像を絶するものがありました。

目が点になります。この結末をどう受け止めればよいのか…。

 

久能山の崖、日蝕と重なり合うように崩壊して行く人々の様子…。
う~ん、なんという悲劇なのでしょう。
だるま落としのように、一段ずつ、ストン、ストンと、

落ちて行くような衝撃的なシーンの連続。

 

とても悲惨な状況なのに私は何故か美しい幻想の中に導かれた気がします。
不謹慎ですが、ちょっとクラッとしながらもうっとりしてしまったのです。

 

話は鏡花に戻りますが、「婦系図」同様、鏡花もまた芸者との恋に落ち

同棲を始めるのですが師である尾崎紅葉に知られます。

この恋を紅葉は全く認めず別れに至ったそうだ。

 

婦系図」の主税とお蔦はいわば自分たちのことでもあり、

酒井を紅葉に見立てたのではないか…と思うと、なんとも心の

ざわつきが止まらないという二重の衝撃とでも言いましょうか…。

作品背景もひっくるめ、かなり奥が深い世界がありました。

 

ということで、再び素晴らしい作品が読めるようになったことに

心から感謝。泉鏡花なかなか素敵!

 

Wikipediaでの泉鏡花の「潔癖症」という項目が熱い!
『「豆腐」の用字を嫌い、かならず「豆府」と書いた。』って

どんだけ潔癖なんだ!…人物的にも見どころが多そうです(笑)