ユニコーン―ジョルジュ・サンドの遺言 :原田マハ著のレビューです。
続編!続編!プリーズ!と叫ぶも未だ続編が出ない。
もちろん、原田マハさんの作品ということで、すごく楽しみにしていたのですが、
この作品は終わり方に「ん?」とか「え?」という疑問符が付くような仕上がりになっているという事前情報。
今回、私も「ん?これで終わり?」という物足りなさを是非味わいたいとなんだか妙な希望を持ち読み始めました。
そして読了した今、「うふふ、ホントだ!」と、思わずニンマリしてしまうほど。
「時間が来たので終了です」と受付のカーテンをシャーーーーと閉められた感じで終わったことに満足感。
それもこれも、本書はこの続きがまだあるということを教えていただいていたので、不満も残らず余裕~余裕です(笑)
さて、そんな前段階を経て読めた作品です。いいですね、この雰囲気、好みだわ~~。物語は主人公であるジョルジュ・サンドとの永遠のお別れのシーンから入り、徐々に生前の出来事を辿って行く。
その昔、ジョルジュ・サンドと子供たちは一時、古城に滞在していた。
─────危険だこと。 ここには、魅力的なものが多すぎるわ。 ─────
そんな言葉が彼女の口からこぼれてしまうほど、素敵な雰囲気のお城には城主のポーリーヌという女性が暮らしていて、そこには美しいタピスリーが飾られている。
心底美しいタピスリーに魅せられたジョルジュ・サンドはやがて、夜ごとタピスリーに描かれた貴婦人が夢の中に現れるようになり、「お願い、ここから出して」と助けを求められるようになるのだが…。
時を刻みながら、ジョルジュ・サンドの夢の中であったり、数年後になっていたりと、カチッ、カチッと場面が切り替わる感じの中で、常に 貴婦人と一角獣のタピスリーが物語の中心に現れる。
そして、ポツリポツリと、謎が広がり、いよいよと私も乗って来たところで、例のシャーーーーとカーテンが閉められてしまったのだ。仕方ない…しばらくカーテンの前で指をくわえて待っています。
これが本当に序章であるのなら、今後も相当楽しめそうな予感で一杯です。
ジョルジュ・サンドの生涯を絡めながら、タピスリーの長い歴史や謎の中にさらに私も巻き込まれたい。
この美しい雰囲気に再び飲み込まれる日はいつかな…。