作家と温泉---お湯から生まれた27の文学 :草なぎ洋平著のレビューです。
感想・あらすじ
ふふっ。本書が楽しいことはすでに知っている私。しかし、本格的に読む前に本の中身がどんな感じかちょっとだけ、ちょっとだけ、覗いておこうとパッと開くと・・・
うああああ!
「安心してください、履いてますよ」的な写真が!
そこには丸っこい体のおっちゃんがうちわを持って横座り。
よく見たらタオルか何かがチラッと見えるのですが、いきなり全裸風おっちゃん(谷崎)からスタートしてしまった無念さよ。
そうそう、今回の狙いはおっちゃんではないのです!「四万温泉の太宰の写真はこれどうにかならなかったのか?!」と言う既読者さんの書評から、太宰氏の写真がただただ見たくて。
合わせて
・坂口安吾ってもっと巨漢のイメージがあったけど?
・梶井基次郎の顔もごつくてびっくり?!
このあたりの確認作業をしなくては夜も眠れない(笑)
・・・と「温泉」より「写真」に関心を示してしまったわけですが、それでも文章から得られた情報も多く、数分後にはすっかり温泉気分へと。 ぁ~ビバノンノン♪
特に武田百合子氏の通っていた浅草観音温泉の話は、先日読んだ「遊覧日記」と繋がっていてとても感動しました。
また、横尾忠則氏の話から温泉の効能の凄さを思い知る。帯状疱疹の後遺症の神経痛がなかなか良くならず、医者にも「一生付き合っていくしかない」と言われていたそうだ。それが草津温泉に晩と朝、たった2回の入浴で痛みがスーッと消えてなくなった。
しかも一回の入浴時間は2-3分と言うじゃありませんか。
今のようにネットもなかった時代、こういった口コミを頼りに文豪たちがこぞってお湯に浸かりに行ったのも理解できます。
さて、問題の太宰氏です。や、もうページを開いた瞬間に声が出た。どうした?どうした?のぼせたんか?なるほど、この表情の太宰さんにはあまりお目にかかれないも!?
下に小さくエピソードが載っているのですが、それによると、
太宰はこの写真に写っている下腹部の盲腸の傷跡を気にしており、撮影した伊馬春部にフィルムの処分を求めたという。
いやいや、太宰さん。傷跡よりあなた、そのお顔の方が・・・(笑)
いずれにしてもこの写真は処分もされず、こうして私たちを愉しませてくれている。
グッジョブです!伊馬さん!というか、表紙の女性は誰なんだろう?旅館の人?・・・という謎だけは解けなかった(笑)
※おっちゃん=谷崎潤一郎氏。親しみを込めて呼ばせていただいております。
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